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第17話 待ちこがれたロンドンの朝 [ロンドン]

ホテルを出ると石造りの建物の間を抜けて頬に当たる風が冷たい。陽がのぼって時がたっていないせいだろうか。この風こそが私が待望していたロンドンの象徴、心地よさである。あらためて自分が今ロンドンにいることを実感した。
今日のメインイベントは12年ぶりのサトウ家訪問だ。佐藤家ではないサトウ家、アーネスト・サトウの末裔Satow家である。私は1975年の春から年末まで半年以上サトウ家にホームステイしていた。帰国してから2度ほど仕事でイギリスに来ているが、その際は必ずサトウ家を訪れることにしていたのである。今回私たちが銀婚旅行としてヨーロッパを訪れることは今年のはじめにはわかっていた。しかし、あまり前からご高齢のサトウご夫妻に秋に行きますよと伝えても、何カ月も前から私たちの歓迎準備に追われて体調を崩されてはこまるので、渡欧することを告げたのは日本出発わずか1週間前。ご主人が電話で応対してくれたのだが、しばらく話した後にいきなり「どなたですか」といってきたりしたので少々心配だった。すでに80歳代半ばをすぎたであろう老人である。意識がはっきりしていることの方が不思議なのかもしれないが。その時点では土曜日に訪れることだけを約束。ロンドンに着いたら時間などの打合せのため再度電話をすることになっていたので、前日ホテルにチェックイン後すぐに連絡すると、私たちの訪問の件を覚えていてくれたのでほっとした。サトウさんは12時にきて欲しいとのこと。ランチを振舞ってくれるのだろう。逆算して10時過ぎにホテルを出発。ピカデリーサーカスあたりの店をのぞき、地下鉄オックスフォードサーカス駅で地下鉄とバス乗り放題の週末乗車券を購入。その後ゆっくりと時間をかけてリージェンツパークを横切ってプリムローズヒルまで歩きサトウ家に向かう予定だった。
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ほとんどの会社がクローズする土曜の朝ということもあり道路に車の通りはほとんどない。昨夕はごったがえしていたオックスフォードストリートにでても人影も車も少ない。もっともまだ大半の店はオープンしたばかりの時間帯だから当然といえば当然だ。オックスフォードサーカスの交差点近くに日本に先ごろオープンして連日入店するための長蛇の列ができているというH&Mを見つけた。その筋向いにもH&Mがある。当然だが入店のための列など見えない。いつでも入店可能だ。私たちはどんなものが販売されているのかをリサーチするため入店した。店内には客が2,3人いる程度。日本のショップならオープン直後の店内は商品が綺麗に陳列されているだろうが、売っているのは商品でディスプレイではないということだろうか、平台に置かれた衣類も、かごに収められた商品も雑然としていて、昨夜の閉店当時のままという感じである。確かに価格は安いが「これはきれい」とか財布を引っ張り出すほど魅力的な商品は見つけられなかった。購買層のターゲットが我々とは異なるのだろう。

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