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第23話 再会 [ロンドン]

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チャルコットロードに入って2,30メートル歩いたところがサトウ邸である。築200年近くを経た建物は半地下プラス地上3階建てが通りの端から端まで連なる長屋のようなもの。その中にサトウ邸もある。各家庭が個性をだそうと扉の色を変えたりしてはいるが、訪問者はそれだけでは判別できない。ドアの上にあるガラスに描かれている住所を示す番号がたよりだ。35とガラスに描かれたサトウ邸の前に立つ。いよいよサトウ御夫妻とのご対面である。私は5,6段ある階段をのぼり、ドア横のブザーを押した。
サトウ夫妻は開いたドアの向こう側で二人並んで私たちを迎えてくれた。私の奥さんは新婚旅行の際会って以来25年ぶり、私は12年ぶりの再会である。でも私から見ると私がサトウ家にホームステイしていた33年前とお二人とも容姿は全く変わっていない。もちろん33年の間に顔の皴は増えたが体型はまったく同じに見える。それに反して私は。12年前に再会した時以上に、今回はサトウ夫妻を驚かせたかもしれない。
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玄関ドアを入り、あまり幅のない廊下で軽いハグの後、右手にあるリビング兼ダイニングルームに通された。40畳以上はあると思われるリビングダイニングは周囲に飾られた装飾品に変化はあるが、ソファーや、円形のダイニングテーブル、椅子も変わっていない。ダイニングルームに続くキッチンは以前より明るくなったように感じたが。
リビングのソファーに座ってしばしマダムサトウ=パトリシアさんと近況報告を兼ねた談笑。その間、ご主人のポールはダイニングとキッチンを行ったり来たりしながら再会を祝すためのスパークリングワインを用意してくれているようだった。12年前に私が訪れた時はディナータイムだった。出張中の身だったので日中はお仕事に励み、夜は同行の上司に無理をいって自由時間をいただき訪れたのである。その時もテーブルに料理を運び、飲み物を提供するのはご主人のポール。パトリシアは私と話しながら、ご主人にあれこれと指示していたことを思い出した。もちろん夕食を作ったのは奥さんだろうが、それをサーブするのはご主人の役割になっているのだろう。
かつては半地下にご夫妻の寝室、末の息子さん(当時10歳ぐらい)、私と2,3歳しかかわらない(当時で二十歳前後)であろう次女の寝室、そして家族専用のバストイレがあったはずである。というのも私は滞在中一度たりとも半地下には足を踏み入れていなかったので。家族の領域を侵犯することはなかったのである。1階はリビングダイニングと食堂、そして私専用のトイレ、私専用のバスルーム。二階の道路に面した20畳以上はあったであろう部屋が私の住居、そして二階にはもう一部屋、8畳程度の部屋があった。その部屋もホームステイの学生さん向けに用意されていたものだが、私が滞在していた半年あまりの間には、フランス人女子学生が1カ月ぐらいいただけで、ほとんどは空室だったと記憶している。そして3階は第三者に貸していたようで20代半ばの若いイギリス人カップルが住んでいた。結婚していたのか同棲していたのかはわからないが。とにかくかつては半地下プラス3階がサトウ家の持ち物だったわけである。

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