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第29話 昼下がりのコベントガーデン [ロンドン]

地下鉄ノーザンラインを乗り継いでレスタースクエア駅で下車する。乗車時間は乗り換え時間をいれても15分とはかかっていない。30年以上経たとはいえ、さすがに1年近く住んでいてほぼ毎日利用していたので、案内板を見上げたりガイドブックを開いたりすることなく移動できた。
地上に出てからわき道を通りコベントガーデン方面へ。この辺りもよくきたところなので迷うことなどない。途中インド料理店があったのでメニューをチェックする。明日の晩、つまりロンドン最終日のディナーはカレーと決めていたのである。インドが植民地であったからだろうロンドンには昔から美味しい本格的なインド料理店が多い。30年前にもインド料理店に連れていってもらったことがあるが、ビールを頼むときには冷えたビールをとあえて告げないとその辺に置いてある生ぬるいビールを持ってこられると同行者が言っていたことを思い出した。辛いカレーにはぎんぎんに冷えたビールでなければいけない。とりあえず値段だけをチェックしてコベントガーデンへ。ここにきたのには目的がある。ミニカーショップを訪れるのだ。奥さんにはそのことは伝えていない。たまたま店があったという筋書きで店に立ち寄り物色する予定だった。店はすぐにみつかった。住所を前日暗記していたのでたやすいことだ。ロンドンは通りの名前と番地を覚えるだけだから簡単なのだ。その店にはプラモデルなどは売っていない。道路沿いのショーウインドウにも様々なサイズのミニカーが陳列されている。店内に入ると子供の姿は見当たらない。いい大人ばかりだ。レジカウンターのいた店員が日本からきたカモにチラッと視線を向ける。店内はミニカーで溢れていてどこからみていいのかもわからない。視力の良くない私は少しでも鮮明に見えるようにと右手ひと指し指を目じりにあてて顔の外側に引っ張る。度の強いめがねをかければ済むことなのだが。そんな私の様子を他のお客が異様な目でみていることに気づいたが関係ない。奥さんもつまらなそうにそれほど広くはない店内を散策しているようだった。結局何ひとつ購入することなくその店をでた。事前調査で訪問すべきミニカーショップはパリにもある。あわててロンドンで買うこともないと思ったからだ。
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集中してモノを探していたからだろうか、店内の熱気の影響からか喉の渇きをおぼえた。奥さんも同様の様子なので通り沿いの小さなカフェスタンド、ロンドンだからティースタンドだろうか。とにかく軽食と飲み物を提供する小さな店に入る。店内にもテーブルと椅子はあったが、少しでも涼みたい心境だったので私たちは店に面する決して広くはない舗道に置かれたテーブル席を利用することにした。
久しぶりに飲むコーラが美味しい。私たちの横を時折ダブルデッカーやロンドンタクシーが通る。舗道を歩く人たちも店先でくつろぐ私たちに目を向けることはない。まあ別に気ぐるみをきているわけでもないただの東洋人が座っているだけだから注目することなくて当然なのだが。

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