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第31話 ビッグベン下で自転車レースに参加するサトウさんと再会 [ロンドン]

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翌朝テレビではシンガポールで開催されている初の夜間F1レースの予選の模様を映し出していた。私たちは甲高いF1カーの走行音にせきたてられるように素早く着替え、朝食をとるため営業開始早々の階下にあるレストランに入った。前夜は昼にサトウ家でがっつり栄養をとったので夜はフォートナムメイソンのサンドイッチと軽め。だから自分の好きなだけ皿にもれる朝のバッフェはありがたかった。朝食後奥さんに一服する間も与えずすぐにホテルをでて地下鉄ボンドストリート駅に向かう。この日はサトウ家のご主人ポールさんが高齢者の自転車レースに出場するときいていた。彼がビッグベン横のウエストミンスター橋を自転車で通過するのは9時10分ごろとのこと。だから急ぐ必要があったのだ。
昨日の朝購入した今日の分のフリーパス券を改札口ゲートで挿入し、長いエスカレーターを乗り継いでジュビリーラインのホームに出る。このジュビリーラインは30年前には存在しなかったラインだ。つまり私は初めて乗る。といってもロンドンの地下鉄は中心部をぐるりとまわる日本のJRや私鉄各社の四角い形の車両が走るセントラルラインやディストリクトライン以外はどれも同じ。チューブ状のトンネル内を走行するため天井の両サイドがせばまった窮屈な形の車両なのである。
ジュビリーラインができたおかげで、ボンドストリート駅からウエストミンスター駅まで乗り換え無しであっという間に到着。地下鉄を降りて改札口を出て案内板に沿って歩いていると、ギターの弾き語りが聴こえてきた。地下鉄のコンコースは音が適度に反響して上手に聴こえる様な気がする。30年前、映画「スティング」のテーマ曲を上手につまびく若者に感動した記憶が蘇った。コンコースで音楽を聴かせるミュージシャンの卵たちは足元に缶や帽子やギターケースを置き、通行人からカンパをもらっている。昔は誰でもできたらしいが、最近は許可無しで奏でることはできないらしい。ちゃんと市か交通局のオーディションをパスした者だけが許されているとのことだ。
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私たちは、耳は傾けながらも視線は向けず彼の前をカンパすることなく通り過ぎ地上に出た。目の前はテムズ川、川向こうにはロンドンの新たな観光スポットとなった大観覧車ロンドンアイがみえる。右手を見るとテムズ川に架かるウエストミンスター橋が、道路を挟んだ向こう側には国会議事堂に連なる高さ100メートル弱のビッグベンがそびえ立ち、先端で時を刻んでいた。まだ9時前だ、サトウさん到着まではまだ時間がある。私たちは開店準備に取り掛かった露店の土産物などを売る小さな売店をのぞきこんだり、ビッグベンを背景に記念撮影をしたりしてサトウさんを待った。

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