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第49話 無事返却 英国での任務完了 [ロンドン]

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しばらくするとバスは走り出しおばさんは私に合図して私たちの車の前にでた。ターミナルビルをぐるりとまわりさきほどとは違う到着ロビー前のコンコースで車を停めた。そこはバス専用のレーンのようである。一般車は皆無。他のレンタカー会社のバスとか団体客を送迎すると思われる一般の大型観光バスが何台か停車しているだけだ。私は不審な車を取り締まる係員に見つからないようバスの背後にぴったりついて停車し出発をまった。何人かの乗客をのせてようやくバスは走り出したのである。ターミナル5は他のターミナルから離れた場所にあるので、このまま事務所に直行するはず。バスは滑走路の外側を走る広い道路にでた。まっすぐなその道の両側にはレンタカー会社の事務所棟が点在している。そして進行方向とは逆サイドに大きなHertzの看板みえた。先の信号で大きくUターンすると、おばさんドライバーは窓から手をだし私たちに先にいきなさいと指示する。多分バスの利用者を降車させる場所と車の返却場所が異なるのだろう。ここまできたらひとりでもいけるでしょということか。私はクラクションをならし謝意を表しバスをぬいた。返却車両の入口はすぐ先にあった。
表示通りに進むと屋根のあるレーンにたどりつきエンジンをとめた。体の力が瞬時にぬけ、どっと疲れがでたような気がする。すぐに係員らしき若い女性が車に近づいてきた。私が契約書を見せるとそれに簡単に目を通し、車の周囲をぐるりとまわり、大きな損傷のないことを確認。これから搭乗するターミナルをたずねてきた上で、そのターミナルビルに向かうシャトルバスの乗り場を伝えた後、車から立ち去っていった。借りるときと異なりなんとあっさりした対応だろう。私たちはスーツケースを下ろし事務所棟に入ってひとやすみすることにした。空港敷地内にたどり着いてからかなりの時間を費やしていたがリヨン行き飛行機が出発するまでの時間には十分すぎる余裕がある。私たちは事務所棟のトイレを利用した後に、ターミナル内でランチでもしようとシャトルバスにすぐに乗り込むことにしたのである。重いスーツケースをターミナル5行きのバスに引っ張りあげる。乗客は私たち以外いない。「Oh-!」運転席からなんともいえない奇声がきこえた。運転席をみるとさきほどのマリアさまが座っていた。私はマリアさまにお礼をいってシートに腰をおろした。窓の外では雨がいまだに降り続いている。まさに欧陽菲菲の世界。雨のエアー・ポートだった。

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