SSブログ

第51話 ロンドン-リヨン間BA機の機内放送 フランス語案内なし [リヨン]

リヨンまでは英国航空で飛んだ。成田からロンドンへ、さらにこのロンドンからリヨン間、そして帰路のパリから成田までの航空運賃を含めて二人で燃油税等込み込み34万円だから決して高くはないと私は思う。おフランスはリヨンへ行く便だからロンドンの空港でも当然搭乗開始を知らせるフランス語での案内もあるのかと思っていたが英語のアナウンスのみ。それは機内でも同様だった。
britishairways-9.jpg
午後4時発のその便はほぼ満席。私たちが機内に乗り込むと3列シートの窓際にはシンガーであり女優でもあるビヨンセ、あるいは記録達成から20年を経た今でも陸上女子100m、200mの世界記録保持者であるジョイナーにも似た黒人女性がすでに座っていた。定刻通り機はターミナルビルを離れ滑走路の端に移動を始めたが、成田空港の二倍以上の発着機があり、世界一忙しい空港といわれているだけにすんなりとは飛び立つことはできない。窓際の女性は外を眺め感傷にふけることもなくファッション雑誌を読んでいる。さすがツアーで世界を駆け巡るビヨンセ、旅なれているのだろう。やがて機内に英語で離陸を告げる最終アナウンスが流れた。それだけ。フランス語放送はなし。日本語放送などもちろんない。この便には私たち日本人以外、英国人しか乗っていないの?でも窓際のビヨンセ兼ジョイナーはアフリカ系のフランス人に違いないと私は思っていたのだが。英語のアナウンスを理解したのか、フィールドを疾走するチーターのような動物的な勘で離陸を察知したのかジョイナーが十字を切った。ここで私の脳裏にひとつ疑問が浮上。キリスト教徒なら十字を切る、手を組んで祈りをささげる、日本人なら掌を合わせて拝む乗客もいるだろう。ならばイスラム教徒はどうするのか、離陸時はシートベルトを締めなければいけないから、床にひれ伏しメッカ(今はマッカが正式呼称とか)に向かって祈りを捧げることもできないはず。何か簡易的な祈り方があるのかもしれない。2時間弱のフライトを終え機は着陸態勢に。機内放送でキャビンアテンダントがリヨンの現在の時刻と天候を知らせた。リヨン上空、完全にフランス領空なのにアナウンスは英語だけで終わった。着陸後もAu Revoir(オルヴォアー=さよなら)のひとこともない。さすが長い歴史の中で百年にもおよぶ争いを展開したこともある英仏両国、敵国に屈してたまるかという自国に対する自信と誇りの表れなのだろうか。私は今度是非逆ルートを飛ぶエールフランス機に乗ってみたいと思った。スコッチも紅茶も飲めないかもしれないが。
そういえばロンドンでミュージカル「レ・ミゼラブル」を観たときのことを思い出した。開演間際、奥さんの隣席のロンドン郊外からきたという20歳前後の英国人レディーに終演時間を尋ねられ、私は適当に答えたのだが、彼女は奥さんに「あなたのご主人はフランス人か」ときいてきたそうである。いまだに存在する英仏の冷めた関係の事実を知りロンドンの劇場にいたレディーの発言の真意がわからなくなった。私の風貌がフランス人っぽかったのかと勝手に解釈していたが、もしかすると彼女にとって最高レベルの侮蔑の表現だったのかもしれない。ああ無情!

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。