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第55話 夜の街リヨン ブルーライトリヨン [リヨン]

私たちは一時リヨンの光の祭典にあわせて旅行をしようかとも思った。毎年12月初旬に行われるその祭りの晩にはリヨン市内の照明が消され、家々の窓際に置かれた蝋燭だけがともり、それはそれは幻想的な雰囲気になるとのこと。その光景を見たかったが、12月は日本も師走で繁忙期。光の祭典見物はリタイヤ後のお楽しみにすることにしたのだ。この丘の上から光の祭典を見たならどんなに感動することだろう。蝋燭でない街の灯りだけでこれだけ美しいのだから。
フルヴィエールの丘を離れた頃には8時を過ぎていた。チェックインし後に街にでても食べるところがあるのか不安になる。フランソワに尋ねるとホテルのすぐそばにレストラン街があるという。まだまだディナータイムは始まったばかりだから問題ないとの返事だった。さらにフランソワが明日の夕食は予定があるかというので、何もないと答えると、旧市街に良いレストランがあるので予約しておこうかといわれた。彼が市内のボったくりレストランと契約し客を送り込むたびにコミッションをいただく悪徳ドライバーにも見えないし、三ツ星レストランポールボキューズ本店に予約を入れているわけでもない。別にここで食べようという予定もあてもないので7時に頼むとお願いすると、フランソワの表情が曇った。7時ではまだ店は準備中だというのである。結局私たちは開店間際の7時半でお願いすることにした。日本と時間の感覚がおおいに異なることを学習しなくてはいけない。
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フルヴィエールの丘を出発してから10分ぐらいでホテルに到着。石造りでいかにもヨーロッパのホテルという外観だった。新市街のモダンなホテルに宿泊するより遥かに良い選択だとフランソワもいっていた。フランソワは約束通り予約時以上の料金を請求してこない。私たちはリヨンのナイトツアーを楽しんだ分だけ得したのである。スーツケースをロビーまで運んでくれたフランソワとはここでお別れ。二度と会うことはないかもしれないが、再度リヨンにくることがあったらそのときもフランソワに予約を入れようと私は思った。築100年は経ていると思われるホテル・ル・ロワイアル、平たく言えばル・ローヤルだが、館内は手入れが行き届いているようで気持ちが良い。エレベーターこそ後付のためだろうか小さめだが廊下も広いし天井も昔の建築物らしく高く気持ちが大きくなる気がした。廊下の両脇には額装されたエルメスのスカーフが飾られている。昔ながらのキーを使って大きなドアを開けて部屋に入る。私たちの部屋はベルクール広場に面していた。窓から顔をだすとさっきまでいたフルヴィエールの丘が見える。
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室内の壁をはじめベッドカバーにいたるまで赤を基調にしているのだが、落ち着かないという感じが全くない。安らぎさえ感じるぐらいだ。ロンドンやボートンオンザウオーターの宿に比べて部屋も広い。バスとトイレは別々にある。さらに何をおくのだろうかというようなシングルベッドがひとつ入りそうなクローゼットまであった。昔の人は馬車一杯にいくつものスーツケースを載せて旅をしていたのだろうか。

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