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第62話 前途多難な左ハンドルマニュアル車 [リヨン]

さあ準備万端、一路ニュイサンジョルジュに向けて出発である。今日の走行距離は200キロ程度、途中昼食のための休憩をとったとしても午後2時頃には到着すると見込んでいた。左ハンドルのマニュアル車を運転するのは私の記憶が正しければおそらく生まれて初めて。ライトやワイパーなどのスイッチ位置を確認し、スターターをまわしエンジンを始動させいざ出発。排ガス規制が日本より緩やかなのだろうか、小型車にしてはおなかに響くようなエンジン音が心地よい。
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シフトノブに記された図に従い、バックギアにいれようと私はニュートラル位置にあったシフトレバーを思いきり私の方に引き寄せ、次にそれを前方へ倒した。前には20センチの隙間もないほど接近して車が停まっていたが、幸い後方には車はいない。一旦バックして道路に出ようとしたのである。ロンドンでマニュアル車になれていてよかったと私は思った。クラッチを少しゆるめ、下り坂ということもあり同時に若干強めにアクセルを踏む。するとどうだろう私の予測に反して車はガックンと前方に進んだのである。私はあわててブレーキを踏んだ。と同時にエンジンもとまった。アクセルの踏み込みが弱くて車がバックすることなく下り坂を下りてしまったのだろうか。この時点で前の車との距離は10センチをきっていたはずだ。私はギアをニュートラルに戻し再度エンジンを始動させ、バックギアに入れた。今度はさらに慎重に、かつさきほどより強めにアクセルペダルを踏み込みだ。エンジンの回転があがりエンジン音も大きくなる。同時にクラッチペダルを踏む足を緩めていった。車はスーッとバックするはずだった。しかしまたしてもガックンと前進した。そしてこんどはゴツンという音も。前方の車のバンパーにぶつかったようである。
割れたプラスチック製のバンパー、さらにバンパーではショックが吸収されず、凹んだフロントグリルの映像が脳裏に浮かんだ。前の車と私のオペルのダメージを確認してもらおうと、私は奥さんに降車を命じた。車を降りて前方に立つ奥さんは手を左右に振っている。どうやら幸い両車ダメージはほとんどないらしい。私は三度トライすることにした。今度は前の車との隙間がないわけだから、逆に前の車を利用して容易に後方に下がれるだろうと判断したのである。今一度バックギアの位置を確認し、指定どおりの位置にギアをいれ、アクセルを今度は普通に踏み、同時にクラッチペダルを緩めていった。ところがである、またしても車は前方に進もうとしたのである。薄ら寒い10月のリヨン。だがこの時点で私の全身からは汗が吹き出ていた。その後何度か私は何度もギアがバックに入っていることを確認しリヨン駅からの出発を試みたのだが。

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