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第64話 フランス人の交通マナー [ニュイサンジョルジュ]

リヨン駅を出発したことはまだ通過点にもならない。この先高速道路に無事乗らなければプロローグも終わらないのである。とっても簡単だからというレンタカー屋のおばさんからもらった手書きの簡略図をたよりに私は高速道路の入り口をめざした。右へいくのか左へ行くのか、ここの出口で降りるのか降りないのか、迷ったときは奥さんの意見を尊重せず、自分の勘に頼ることが安全策であることを私はこの旅で再認識した。
駅前を離れ市街地に入ったとたん高速道路に侵入できる脇道があった。奥さんはここがディジョンに向かう高速への乗り口に違いないという。しかしどう考えても逆方向である。私は奥さんの意見を無視した。私の選択はもちろん大正解だった。市街地の交差点で車線を間違えたために曲がるべきところで曲がれず、同じ道を二度通ることはあったが、前日バスに何度か乗っていてリヨンの地図が多少なりとも頭に入っていたこと、パリ・ディジョンの位置する方向感覚もあったので、高速道路A6にはすんなりと乗ることができた。もちろん乗り口から本線への合流地点での戸惑いと恐怖は少なからずあったが。
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ディジョンに続く高速道路を30分も走ると雨になった。ときおり雲がきれて明るくはなるが、A6がパリとディジョン方面へとの分岐点にさしかかるまではほとんどワイパーを作動させていなければならなかったのである。高速道路はだいたい片側3車線。だが途中2車線になるところもある。さらにいきなりスピード制限速度50キロを知らせる標識があらわれ、大きく蛇行する工事区間に入ることもしばしばあった。後で知ったことだが、ああいった工事区間で制限速度を守らないと後日写真付きの通知がきて相当額の罰金を払うことになるらしい。
高速道路でのフランス人(多分大多数はそうだと思う)ドライバーのマナーは日本人も見習うべきだと思う。走行車線や追越車線を右往左往しながら先を急ぐドライバーがほとんどいないのだ。特にトラック運転手のマナーの良さには感服する。前にかなりの積載量でゆっくり走るトラックでもいない限り、トラックがトラックを抜くという場面には遭遇しなかったのである。圧巻は渋滞時における彼らのマナーのよさ。二車線の高速道路を走行時、いきなり各車が減速しはじめ、やがて渋滞が始まった。何キロか手前の電光掲示板によればこの先で事故があり渋滞しているようである。そうした状況下、トラックは走行車線に綺麗に一列に並んでいた。それらトラックは全く動かない状態。追越車線は一般車両が通っていたが、少しではあるが前に進んでおりとまることはない。そうした時でも追越車線は動いているからといって、走行車線から追越車線に侵入してくるトラックは皆無なのである。
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皆じっと耐えているのだ。この行為に私は驚いた。しかしもしかすると日本のように何時までに荷物を絶対に届けなくてはいけないという縛りが彼らにはなく、また、今積んでいる荷物を一刻も早く先方に運んで下ろし、すぐさま次の貨物を積みこんでとんぼ返りして日銭を稼がなくてはという意識がないのかもしれない。早く着こうが延着しようが自分には関係ないこと。ユニオン(組合)が強く、今日はこれを無事にとどけることで決められた賃金が得られる、それ以上もないしそれ以下もない、だから先を急ぐ必要はないと自分の仕事を割り切って考えているのかもしれないと私は思った。

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