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第70話 やっとの思いでニュイサンジョルジュ到着 [ニュイサンジョルジュ]

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フロントガラスの端から端までブドウ畑が拡がる。コートドールの中腹を走っているとやがて緩やかな下り坂となり、その下り坂の先に集落が見えた。ランドマークであろう教会の尖塔も見える。親切なおばさんと別れてから通り過ぎてきたワインの名称としてききなれた村々のように車であっという間にパスしてしまうほど小さな集落ではない。村というより町と呼ぶにふさわしいひろがりがある。
ニュサンジョルジュだと直感した。直感するまでもなくブージョの次がニュサンジョルジュであることは地図でも明らかなのである。ほとんど車が通らないコートドール中腹の道から、収穫されたばかりのブドウを積んだトラック、瓶詰めされたワインを満載したトレーラー、ワイナリーを見学するツーリストを乗せているであろう観光バスなどが頻繁に通過する74号線に出た。74号線はニュイサンジョルジュ村を縦断しているようである。途中いくつか信号のある交差点にも出くわしたが、大きな問題に気づいてしまった。私はフェブレイさんの会社がどこにあるのか知らないということである。住所も知らない。手紙は彼の自宅に送っていたし、会社宛に送っていたときも日本でいう私書箱のようなものらしく、数字の羅列だけだったのだ。ホームページも見ていたが住所は記載されていない。ニュイサンジョルジュを示す郵便番号のようなものだけだった。日本の地方にある小さな市や町よりも狭いので、社名さえ記されていれば郵便物は届くのだろう。予定ではニュイサンジョルジュ近くに到着したら電話をして、どのように走れば会社に到着するのか訪ねることになっていたが、予定は大きく狂った。電話が通じなかったのだからいまだにどこをどういけばいいのかわからない状態である。いつしか74号線を走る車のフロントガラスから見える光景は、再び左右どちらもぶどう畑という状況になっていた。FAIVELEYの看板を私も奥さんも必死に見つけようとしたが、見つけ出す前に村を通り過ぎてしまったようである。
周囲はまたまた一面のブドウ畑になってしまった。Uターンして再度チャレンジするしかない。それほど大きくない村とはいっても通り過ぎた間には信号もいくつかあったし路地もあった。ダウンタウンと思われる地域もあった。東京のようなビルはないからFAIVELEYの文字がおどるネオンサインが屋上にあるわけもない。これは誰かに尋ねるしかない。車をブドウ畑脇の空き地に突っ込みユーターンした私は、村の外れにあったプジョーの看板を見逃していなかった。ディーラー兼修理工場に違いない。あそこの職人なら世界に知れた「フェブレイ」ブランドを知らないわけがないと勝手に思い込んだ。というより思い込むよりなかったというべきか。

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