SSブログ

第72話 フェブレイ社到着 [ニュイサンジョルジュ]

DSC00612.JPG
フェブレイ社の正門?は日本の工場のように幅がある。ワインを積み込む大型トラックが出入りするからであろう。構内に入ると両脇に自家用車が停まっている。従業員のものだろうか。門近くに駐車している青いマセラッティ・クアトロポルテはフェブレイさんの車かもしれない。フランス人がイタ車に乗ってはいけないという決まりはないのだから。
DSC00611.JPG
私はゆっくりと車を走らせ社屋への入り口、つまり玄関か通用口を探した。すると突き当たりとなってしまい道なりに左手におりていくしかなくなった。下り坂をゆっくりとおりると、再び広いスペースに出た。建物の両側にはプラットホームが設置されている。ここはトラックを横付けしてワインを積み込む倉庫なのだろう。しかしシャッターはおりており、積み込むトラックもない。もちろん内部につながるであろうドアも見つからない。私は大きく車をユーターンさせ再び今きた道を戻り門に向かった。するとさきほどはなかったが、フェブレイのシンボルマーク、ブドウを踏み潰しているライオンが描かれたルノーの小さなトラックが停まっていた。そしてその横の建物に先ほどは気づかなかったがドアがある。インターフォンのようなものも見える。私は車を邪魔にならないところに停めてその入口に向かった。
インターフォンを押してしばらくすると男がでた。私の名前とフェブレイさんに面会にきたと英語で伝えると、英語ですぐにいきますとの答えが返ってきた。さすが世界各国と取引のある企業だけのことはある。社内では英語も公用語なのだろう。しばらくすると扉があき大柄な男が立っていた。もちろん面識のない人物である。彼は私たちの車がどこに駐車しているかを確認した後、私たちを建物内に招きいれた。そこは先ほどの倉庫につながる作業場なのだろうか。ワインの入った段ボールや木箱が山積みにされたパレットがいくつか見受けられる。稼動してはいなかったが男の背後にあるのはベルトコンベアだろう。そこで男に再びフェブレイさんに会いに私たちははるばる日本からやって来たと告げた。すると彼はポケットから携帯電話を取り出して誰かに電話をかけた。もちろんフランス語である。電話を切ると彼は、フェブレイのところに案内するという。どうやらオフィス棟は別のところにあるらしい。ここはあくまで倉庫兼作業場ということなのだろうか。
男は薄暗い迷路のような通路を、明かりをつけたり消したり繰り返しながら私たちを誘導してくれた。省エネが徹底されているのだろう。2,3分歩くと大きな廊下にでた。廊下の片側には何枚かの肖像が飾られている。あとでわかったが、フェブレイ家代々の当主、つまりフェブレイ社の社長の肖像画だった。私たちの足音に気づいたのか、廊下の途中のドアから案内してくれた男よりもさらにひとまわり大きい男が出てきた。フェブレイさんだった。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。