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第75話 7代目登場 [ニュイサンジョルジュ]

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小休止の後、私たちは意味のなさそうな部屋の鍵を一応閉めて中庭にでた。フェブレイさんは選別作業をしている女性たちと何か話していた。選別作業で不合格とならなかったワインがどのような工程でワインに成長していくのか、施設内を移動しながらフェブレイさんは順追って説明してくれた。中庭から建物内に入ると直径・高さとも5メートルはあろうかという大きなタンクが数十個両側に並んでいる。ブドウを発酵させるタンクだ。タンクの横にはブドウの収穫された畑の名前が記された大きなラベルがはられている。すべてのタンクはコンピュータ管理されていて、施設内の壁に設置されたモニターを通して、それぞれのタンク内の状況がチェックできるシステムになっているという。人の手、目による作業を重視する工程もある一方、ハイテクも駆使してよりいっそう品質の維持に取り組む。ブランドに胡坐をかくことなくフェブレイブランドの向上に努める姿勢を強く印象付けられた。フェブレイさんの説明に耳を傾けながらゆっくり施設内を歩いていると反対側から若い男が歩いてくる。彼こそがフェブレイさんの次男坊、7代目フェブレイ社長となったエルワンだ。彼とは私も初対面。彼はまだ30歳になっていないはずだがスキンヘッドにしている。フェブレイさんの遺伝子を受け継ぎ頭髪の状況がかなり悪いに違いない。それをカモフラージュするためのスキンヘッドなのだろう。彼は私たちと簡単な挨拶を交わすと施設の奥に消えていった。
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施設内にはフェブレイワインの取引先だという先客がいて、途中フェブレイさんは「ちょっとこの辺を見学していて」という言葉を残して、そのお客さんの方に向かった。私たちはタンクに沿って施設内を移動する。すると壁側からタンク内に何かを突っ込んでかきまぜている若者がいた。エルワンだ。彼もまた社長でありながら現場に立ってブドウと直につきあっている。こちらにきたらという誘いを受けてエルワンの立っている場所に向かう。
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タンクとタンクの間に梯子があり、その梯子は登ると各タンクの中がのぞける高い場所に位置する狭い渡り廊下のような通路につながる。エルワンはタンクに先端に平板がついた長い棒を突っ込み、発酵中にタンク上部に浮きでた果帽といわれる果皮や種を果汁に押し込むピジャージュという作業をしていたのだった。腕で額の汗をぬぐうジェスチャーをしながら大変な力仕事だという。それはそばで見ていれば十分理解できた。

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