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第87話 コートドールでぶどうを拾う [ニュイサンジョルジュ]

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アパルトメントで遅いランチを済ませた私たちは車でブドウ畑へ向かった。ニュイサンジョルジュの中心街を外れればそこにはブドウ畑しか存在しない。ここはブルゴーニュ、コートドール、黄金の丘なのだから。
誰でもブドウ畑に入っていいのかどうかは知らない。でもクーシェの親切なおばさんにニュイサンジョルジュへの道順を教えてもらった後に走ってきた74号線と並行して丘の中腹の道は両側ともブドウ畑だ。ちょっと横道にそれれば畑の中。立入禁止との立て看板もないし誰でも入れてしまう。道に入るだけで、何も畑の中にまで踏み込むわけではないから許されるだろう、と勝手に解釈して車で畑のわき道に侵入した。自分の立っている周囲の畑がフェブレイ社の所有畑かどうかはわからない。でもワインのラベルに記載されるような有名な畑ではなさそうだ。きっとこの周囲で収穫されたブドウは、Nuits Saint Georges あるいはBourgogne Rougeとして出荷されるのだろう。ロマネコンティだろうが名もないテーブルワインだろうが元は同じ土で育ったブドウ。素人の私がみたってブドウの良し悪しがわかるはずもない。味見したら多少違うのだろが。でなければ価格に数百倍もの差が生じるわけもない。それとも製造過程での手のかけ方だけで美味しさの差がでるのだろうか。
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車を停めたすぐ横の畑の苗の間に落ちているひと房ブドウがあった。それを拾って臭いをかいだが落下してから日が経っていないようで痛んでもいない。持ち帰ってデザートにする手もあったが、途中で職務質問されて所持品検査されたら、警官は私たちがこのブドウは拾ったといっても信じてはくれないだろう。銀婚旅行でブドウ泥棒の罪で獄中経験はしたくないのでブドウは元落ちていた付近にそっと戻した。存分にコートドールの空気を吸った私たちは夕刻に催されるテイスティングのためアパルトメントに戻るべく再びオペルに乗り込む。
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車の周囲は見渡す限りブドウ畑だ。圧巻である。こんな景色をみることができるとは、ワイン輸入会社にお世話になった四半世紀近く前には想像すらしなかった。これも長年誕生日カードとクリスマスカードを送り続けたことへのご褒美なのだろう。秋の柔らかい日差しをうける周囲のブドウの葉っぱたちが揺らいだ。「この地にこれてよかったね」といっていたのかもしれない。
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