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第88話 テイスティングで久方ぶりの高級ワインを [ニュイサンジョルジュ]


ひと休みした後、フェブレイ社の事務所棟へ向かう。今夕はフェブレイさんが私たちだけのために試飲会を開いてくれるというからだ。社内にテイスティングルームがあるのかと思っていたらそうではないらしい。テイスティングルームは地下の酒蔵の一角にあるそうだ。フェブレイさんの後に続き昨日も案内された酒蔵に足を踏み入れる。垂涎モノの瓶詰めされたワインの間を延々と歩く歩く。通路ごとに照明があり、フェブレイさんはそれを点けては消し、点けては消しを繰り返しながら目的地を目指す。ここでフェブレイさんに見捨てられたら私たちは餓死するだろう。帰り道がまったくわからない。照明を消されたら一巻の終わりである。ワインは飲み放題かもしれないがチーズのようなつまみがないと私たちはそうそう飲み続けることはできない。高級ワインの中で溺死するなら本望だとはとても思えない。私たちは必死にフェブレイさんを追った。
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やがてテイスティングルームに到着。酒蔵の中の応接室とでもいおうか。テーブルの上にはすでに数十個のワイングラスがおかれていた。入口近くの小さな台には今日試飲させてくれると思われるワインが数本置かれている。私たちがテーブルにつくとテーブル上に今日の日付が印字されたA4サイズのテイスティング用のファイルが置かれていた。開くとフェブレイ社の概要や、現社長であるフェブレイさんの次男坊エルワン氏が掲載された専門誌のコピーがファイリングされている。そして今日のテイスティングワインリスト。5つの銘柄の横は空白になっており、試飲する者がその評価を書き留められるようになっている。
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今日テイスティングするワインは赤3本、白2本。その銘柄はすべて私が知っているものだった。加えるならただ知っているだけでここ数年口にしたことのない銘柄ばかりである。私の頭の中の電卓が稼動する。紀ノ国屋さんで5本すべてを購入したら片手を間違いなく超える。銀座レカンあたりですべてオーダーしたら原チャリが何台か買える金額になること間違いなしだ。飲みたいと思っていたコルトンもある。20数年ぶりのコルトンだ。ブルゴーニュを訪れた甲斐があったというものだ。

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