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第106話 どこで下りればパリ市内 [パリ]

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間違えて逆方向へ向かう車線に入ることもなく私たちはパリに向かって走り出した。しばらく走るとルアーブルは左方向という標識を発見。つまりこの先は昨日走った道だ。見覚えのある景色を走らせればいい。いつものように奥さんはすでに眠りについている。3時間前後でパリに着くだろうから、それまでは眠らせておこうと思った。パリ近く、パリ市内に入ったら彼女は、高性能なカーナビの役割を担うことになるのだから。私の優しさである。片側3車線の高速をオペルは時速120キロ前後で疾走する。上下線合わせて6車線、さらに道路の横はほとんど田園風景が拡がっていて、東名高速のように両サイドに山が迫ってくることはないので、ハンドルを握っていても妙な圧迫感もなく気持ちが良い。パリまでの距離を示す数字が、200、150、100、50キロと徐々に小さくなっていく。いよいよ最終目的地に近づいていく高揚感と、パリ市内の一般道に入ったらどうなるのかという恐怖で心臓の鼓動が早まっているように感じた。
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3車線の道路を走る車も徐々に増えパリ市街が近いことを感じた。ハンドルを握る手もじっとりと湿っぽい。これほど緊張して車を運転することなど日本では経験がない。道を間違えたって同じ大陸を走っているのだからいつかは必ずパリに着く。そう考えたくても考えられない。とにかくパリ市内に入ったら市街地の周囲を走る高速環状線に乗り、それが成功したら7つ目出口で一般道に出れば車の返却場所であるモンパルナスは近いはずだ。6車線の高速が大きな岐路に近づく。直進すればパリに行けそうだが、大半の車は右方向へ流れる。一か八かの選択だ。私の勘ではまっすぐいけばパリの新都心、新凱旋門のあるラ・デファンスあたりには出るはず。そちらへいってもパリ市街地に行けるだろうが、ここは当初の計画通り車を走らせようと多くの車の後について右方向へハンドルを緩く切った。車の量は全く減らないが周囲が緑になる。林の中を走っている感じだ。もしかして誤った選択をしたのか。5分10分走っても林を抜けない。市街地から結構離れた高速のようである。多分市街地を通らずパリ南部へ向かうバイパスのような道に違いない。私は次の出口でおりて反対車線に戻り先ほどの岐路で直進、つまり逆送するのだから岐路で大きく右折してラ・デファンス方面と思われる方向に走ろうと思った。でも私の選択は正しかったようだ。林を抜けると正面に街が見えてきたエッフェル塔は確認できないが大きな街であることは確かだ。パリ市街の外れであろう。私はUターンすることなく流れに乗って車を走らせた。

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