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第108話 ようやくレンタカー返却場所へ [パリ]

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しばらく走るとトラム(路面電車)が見えた。神が手を差し伸べてくれたのだろう。大半が地下を走るパリ高速環状線に沿うような地上の一般道には省エネを意識したトラム3号線が走っていることをガイドブックで学んでいた。これにしばらく並行して走り、どこかで左折すればモンパルナスだ。私たちは安堵した。
市街の一般道は大抵2車線なのだが、前触れもなく1車線になるところがある。さらに強引に車線変更するドライバーもいる。日本人らしく慎ましく遠慮していたのではなかなか先に進めないし、後続車に煽られる。私も図々しくいかなくてはいけない。だから2,3度相手に急ブレーキを踏ませるような危険な行為を犯した。奥さんは全く気づいていないようだったが。
パリ市内西部を彷徨ったが、ようやく最終目的地であるモンパルナス到着である。高速の出口を間違えておりてから1時間以上はたったのだろうか。大通りに面したハーツの事務所に到着した。幸い事務所の前に車を停止でき、私は静かにエンジンを切った。これで車の運転から解放された。後はハーツの係員が車を移動させてくれるはずである。私は事務所内に入り、カウンターにいた職員の男に車の返却にきたことを告げた。彼は私とともに外へでてきた。私は車のチェックをするのだろうと思ったが、彼の口から意外な言葉が発せられたでのである。
「これはうちの車ではない」と言い放った。そんなこといったってこれは1週間前、リヨンのハーツで借りた車に間違いない。途中で車が入れ替わったことなどありえない。私は車内のバッグから契約書を取り出し男に見せた。男はそれでも首を傾げているので私はガソリンの挿入口を開けて、その内側に貼られた「これはガソリン車である」ことを示したハーツのステッカーを見せ付けた。ディーゼルが普及しているヨーロッパでは、ガソリンと間違えて軽油を入れてしまう客がいるらしく、こうしたステッカーが貼られているのだろう。しかし、そのステッカーが思わぬところで効力を発揮した。男はようやく納得したようでハーツの車であることを認めた。

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