SSブログ

第124話 息子のCDで迎える演出 [パリ]

ベラールさんの住んでいる住居のガードは固い。まずビルの入口脇にある操作盤で暗証番号を入力する。するとドアがあき、10畳ほどの広さの何もないロビーとなる。次にロビー突き当たりのドアの横にある内線電話で訪問先を呼び出し、相手が入室を許可するとそのドアが開くことになる。つまり二重のセキュリティーシステムになっているわけだ。昨日のように外から電話して「今着いたから開けて」といえば、ベラールさんが迎えにきてくれるのだろうが、私たちはその建物の流儀に従って入館したのである。
ベラールさんに入室を拒まれることもなく私たちは建物内に入ることができた。ロビーのドアを抜けると右手に大人4人が乗れるか乗れないかという小さなエレベーターがある。小さな東洋人が3人乗りこんだだけでも息苦しい狭さである。ベラール邸がある2のボタンを押す。エレベーターは大きな音を立てて上昇を始め、すぐに大きな音とともに停止した。2階だからあっという間である。
2階の住人はベラールご夫妻だけなので、エレベーターのドアが開くと、正面のベラール邸玄関ドアも開け放たれており、中にベラールさんと奥さんのロレッタさんが立っていた。と同時に私たちの耳に聞き覚えのあるメロディが飛び込んできた。音はベラール邸の中から聴こえてくる。それは昨日ベラールさんにお土産のひとつとして渡した次男のバンドのCDに収められた曲だった。ベラールさんらしい心憎いお出迎え。私たちは感激しながら美術館のようなベラール邸に再び入館したのである。
DSC01248.JPG
私はベラールさんにはここ数年の間にも何度か会っている。彼が来日したとき空港に迎えにいったりしていたのだ。でも奥さんのロレッタさんに会うのは12年振り。出張でパリを訪れた際、週末をノルマンディーのオンフルールや避暑地ド―ヴィルで一緒に過ごしたのである。その時オンフルールのハーバーの前で撮った写真をA4サイズに大きく伸ばして昨日ベラールさんに渡していた。
奥さんは入院するほど足が悪かったときいていたので心配していたが、今は回復しているようでひと安心。私たち夫婦は昨日ベラールさんに邸内の案内と邸内の美術品の数々を紹介してもらっていたが、睦美はベラール邸がリノベーションされてから訪れるのは初めて。そこでベラールさんが邸内を案内してくれた。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。