第147話 重量オーバー?冷や冷やのチェックイン [パリ]

シャルルドゴール空港は進化を続けている。この空港が開港したのは1974年3月(写真参照)で、私が初めてフランスを訪れたとき乗っていた便は、シャルルドゴール空港に着陸した日航機としては2番目だった。私の対面に座っていたスチュワーデスたちも着陸して滑走路を走っている間ずっとシートから身をのりだすように窓から外の景色を珍しそうに眺めていた記憶がある。飛行機を降りてから税関などに向かうときも、動く歩道がアトリウムの中で美しく交差し、まるで宇宙ステーションの中にいるようだった。しかし30年以上の時を経て、ターミナル2も完成。私が30数年前に降りたち、そして今日帰国の途につくためにきているターミナル1は、老朽化のためかあちこちで修復工事が行なわれており、斬新というイメージは全く感じられない。
各航空会社のチェックインカウンターは円形の建物の曲線にそって配されており、全日空のカウンターは工事中でそこより先にはいけませんよという一番端にあった。出発まで3時間あまりあるためだろうか、チェックインを待つ人もいない。ただカウンターから少し離れたところに団体旅行と思われる日本人の集団が2,3グループ見受けられた。
カウンターで手続きをしてくれたのは日本人女性。日本から持ち込んだ大型書籍などの土産はなくなってはいたが、その分、日本に持ち帰るお土産がかなりあったので、スーツケースの重量オーバーが心配だった。燃料の高騰により、機体の塗装面積を減少させたり、機内食の食器類まで軽量化に取り組んだりと各航空会社とも燃費向上に向けた対策を講じているご時世。1キロでもオーバーしていたら規定の追加料金を払わなくてはならないものと覚悟していた。二人でスーツケース2個。40キロが限度だが、ひょっとすると50キロを超過しているのではというのが私の予測だった。スーツケースを恐る恐るカウンター脇の計量器に載せる。一瞬重量が表示されたが、女性スタッフは何ごともなかったかのようにスーツケースの取っ手の部分に行き先を表示したシールをまきつけ、そのまま計量器と連なった終始動いているコンベアに移動させた。スーツケースはすぐに私たちの視界から消えたのである。
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