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第148話 土産の杖を梱包してくれるスタッフ [パリ]

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私たちは幸いにも追加料金の徴収は免れたようである。でも規定重量をオーバーしていることは明らかだ。とすると航空会社がサービスしてくれたのか、それとも女性スタッフには会社の置かれた厳しい状況など関係ないから細かいことは気にしないことにしているのか、追加料金を要求してからの私とのやりとりが面倒くさいのでフリーパスにしてくれたのかもしれない。とにかくスーツケースはこれで航空会社の手に渡ってしまった。もう手出しはできない。あとはスーツケースが無事に私たちと同じ便に積み込まれ成田空港で無事私たちの手元にもどってくることを祈るしかないのだ。
でもまだ問題は全て解決してはいない。最大の問題は私が手に持っている土産としてヴェズレーで購入した杖だ。杖の先は長丁場の巡礼にも耐えられるよう鋭利な金属が取り付けられている。私自身でその部分に紙を幾重にも巻き、他の人に危害を加えることがないようにはしてあるが、テロリストの手にかかれば立派な武器になることは明らか。「これは機内には持ち込めませんよね」と尋ねると「ええ」といって、彼女は私たちの後方に立っていた黒人男性スタッフを呼んだ。その杖を渡すと男性スタッフはすぐに理解したようで、カウンター内からダンボールを引っ張り出し、長方形のカートンを組み立て、杖をその中に入れたのである。もちろん杖を押し込んだだけでは中で杖が転がってしまうので、動かないように新聞紙などを丸めて押し込んだ。パターやゴルフクラブなどを買って帰る乗客のためにこうしたサイズのカートンがちゃんと用意されているのだろう。日本の航空会社ならではの肌理の細かさに感心する。女性スタッフが梱包の出来栄えをチェックしOKがでると男性スタッフはカウンターからまた離れていった。見事な分業システムである。女性スタッフによって到着地が印字されたシールを段ボールに貼られ、箱詰めされた杖はスーツケース同様コンベアに載りバックヤードに消えていった。成田で受け取って開けてみたらポッキリ折れていたなどということがないよう私は神に再度祈った。
しかし梱包してくれたあの男性職員、ブランド物でもない、ただの木の杖を梱包したのは初めてだったのではないだろうか。日本人は妙なものを買うと、今夜あたり家族に話すのかもしれない。

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