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第141話 セキュリティゼロの一時預かり [パリ]

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エレベーターは混んでいたがフロントに列はなかった。本当は午後タクシーで空港へ向かう時間まで部屋を確保しておき、最後のパリ散策後に一旦部屋に戻り、シャワーを浴びてパリの垢を落としてからさっぱりとした気分で帰国の途に着こうと考えていた。だがチェックイン後、チェックアウトを今日の午後3時ごろまで延長したら追加でいくら払わなければならないか尋ねたらしっかり半日分いただくといわれそれを断念したのである。
支払いを済ませると空港までのタクシーは必要ないかと尋ねられたので午後3時の手配をお願いした。あと何時間かのパリ散策、この大荷物を持ち歩くわけにはいかないので荷物を預って欲しいというとフロントマンは笑顔で頷いた。フロントで預ってもらい、引取りの際必要となる番号札を受け取り、フロント裏にでも置いて保管してくれるのかと思ったら、パリの社会はそんなに甘くない。預り場所を指示されたのである。そこは階段裏の小さな小部屋、掃除道具をいれるような薄暗い部屋だった。すでにいくつかのスーツケースが置かれている。私は空いているスペースにスーツケースをおさめ、折れないように杖をその隙間に差し入れた。コンピュータが入ったバッグもあるが、これをもって歩くわけにはいかないので、貴重品だけを別の手提げバッグに入れ替え、スーツケースの横に置いた。私がどんなスーツケースを持っていたかなどフロントの人たちが覚えているわけがない。別の宿泊者が私の汚れた洗濯物が詰め込まれたスーツケースや、誰も土産物としては購入しないであろうと思われる杖を持ち去っても絶対にわからないだろう。チェックアウトしたらあとの責任は負いませんよということなのだろう。
フロントマンが闇組織とつながっていて、裕福な日本人ツアー客の荷物がある、午前中に盗みにこいと今頃連絡しているかもしれない。私たちは午後ホテルに戻ってきたときにスーツケースや杖が残っていることを祈りつつホテルをでた。

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