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第134話 モンマルトルの丘 車停められません! [パリ]

ポンピドーセンター内で昼食を終えて外に出るとベラールさんが私たちから少し離れたところで電話をかけはじめた。館内でも時折携帯のチェックをしていたから外に出て初めて連絡をとったのだろう。フランス語で話しているのでもちろん内容はわからないが、友人との他愛もない会話ではなさそうである。かなりシリアスな表情をしている。ビジネス上のトラブルかもしれない。忙しい最中、丸一日時間をとらせてしまったことを申し訳なく思った。電話を切ると次はどこに行きたいかと尋ねてきた。さすがにパリから少しばかり離れた「ヴェルサイユ宮殿」とはいえない。半日仕事になってしまうだろうから。結局眺めの良いモンマルトルの丘に向かうこととなった。天気も良いのでパリの街が綺麗に望めるに違いない。
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夜は歓楽街となるピカール界隈を抜け車はモンマルトルの丘を登り始めた。この辺りは特に道幅が狭い。しかし両側にはぎっしりと車が停まっている。駐車している車の脇を歩く太陽の下では違和感のあるけばけばしい女性を見つけては「まだ仕事の時間ではないのに」とベラールさんがいう。丘を登りつめたものの問題は駐車できるかである。運良くサクレクール寺院などの見物を終えて駐車スペースを離れる車に出くわせばいいがそうはうまくいかない。ありとあらゆる路地に入り込み隙間を見つけようとするが見つからない。ベラールさんの顔にも疲れがみえる。「夜のコンサートもあるし、一旦ホテルに戻りましょう」というがベラールさんはあきらめない。もう二度とパリの土を踏めないかもしれない日本から珍客をなんとしてもパリを一望できるモンマルトルに連れて行こうというのだろうか。
20分ぐらいは丘の周辺を彷徨っただろうか。ようやくミニが収まる駐車スペースが見つかった。駐車した場所から少し先にある券売機でパーキングチケットを購入。車のダッシュボード上に放り込む。これで1時間は堂々と車を停められるのだ。私たち3人はゆっくりとサクレクール寺院に向かって歩き出した。石畳の道は当然くるまの乗り心地も悪いが歩くのもまた厄介である。しかし靴底を通しての石の感触とともに先人たちの会話が聞こえてくるようで、アスファルトやコンクリートの舗道上を歩くよりは一歩に重みを感じた。

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