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第19話 リージェンツパークを通りプリムローズヒルへ [ロンドン]

オックスフォードサーカスからリージェンツパークの入口までは10分程度で到着した。通り沿いに商店はまったくなく、オフィスやホテル、それに高級アパルトメントばかりである。車の通りもほとんどなく、道路の中央に立って写真を撮ることも可能なほどだった。もちろんウイークデイではこうはいかないだろうが。かつて私はボンドストリートにある語学学校に通っていた。往きは地下鉄、帰りは地下鉄かバス、そしてときおりリージェンツパークを通って徒歩で帰ったものである。何ごともなければ東京ドーム40個分の広さがあるこの公園を突っ切れば40分もかからない道のりだったが、公園内には誘惑が多い。放し飼いの犬もいる。リスもいる。池もある。ベンチもいっぱいある。だから1時間ぐらいをかけて帰っていたものだ。今日もリージェンツパークの北の端に位置する思い出のプリムローズヒルでしばし休憩したとしてもまだまだ時間の余裕がある。私たちは色づき始めた木々が点在する広々とした公園をのんびりと歩いた。
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ロンドンの公園には芝生が一面に拡がっている。私たちの感覚からすればとても広いと思われるリージェンツパークもロンドンでは小さい部類。ロンドン南部にあるリッチモンドパークなどは300万坪の広さがあるのだ。日本ではかなり広いと感じられる100坪の土地を有する建売住宅なら3万棟建てられる。4人家族だとすれば12万人が生活できる勘定だ。これだけあればひとつの行政区になるだろう。かつては王室の鹿狩り場だったというから当然といえば当然の広さなのかもしれないが。土曜日ということもあり繁華街とは異なり家族連れやカップル、犬の散歩組みが結構目立つ。公園脇に設けられた何面もあるサッカーグラウンドでは、色とりどりのユニフォームを着た少年サッカーチームが練習をしている。いくつかの女子チームもみかけた。ロンドンの中心地にこれだけの整備されたグラウンドを確保し、子供たちが存分に練習できる環境が整っているのだから日本と力の格差が生じることも仕方ないことかもしれない。
一方散歩している犬たちはリードにつながれることなくご主人様の目の届く範囲で自由に公園内を走り回っている。他の犬がいたっておかまいなしだ。犬同士が喧嘩している光景などみたことがない。30年前ロンドン郊外の公園にいた犬が皆放し飼いで、その犬たちが日本で散歩中の犬のように決して取っ組み合いの争いなどしないことにとても衝撃を受けたが、時は経てもロンドン在住の犬たちの心はあいかわらず穏やかなようでなんだかほっとした。
30分以上をかけてのんびりとリージェンツパークを突っ切ると19世紀半ばにオープンにしたロンドン動物園が見えてきた。かつては入場料も安く、水曜日とか木曜日とか、とにかく週に1回無料という曜日があったので、私もしばしば学校帰りや、帰宅後一休みしてから見物にきたものである。当時日本で異常なほど人気があったパンダも、こちらでは数ある動物の一種類にすぎず特別扱いはされていなかった。私も初めて訪れたときは見過ごして素通りしたほどである。パンダそのものもぬいぐるみのように白と黒に綺麗に色分けされてはおらず汚れてほとんど全身真っ黒。普通の熊とかわらなかった記憶がある。ロンドン動物園には新婚旅行の時にも訪れた。当時大変重たい思いをして日本から持参したビデオにも獲物を追うように檻の中で無駄のない歩きをする狼の姿が残っている。そのロンドン動物園、近年は経営難から閉鎖の危機もあったがなんとか乗り切ったそうだ。でも入場料が3千円近くにはねあがってしまったのだが。そんなわけで今回私たちはパスさせてもらった。

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