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第47話 ヒースロー空港 レンタカーの返還場所がわからない [ロンドン]

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空港は近い。燃料計の針は真ん中にあり、まだ半分近く残っていることを示していた。レンタカー屋の口車に乗って最初に満タンにした私が馬鹿だったのか。何十リッターかのガソリンをただでくれてやったことになると思うと腹が立つ。ポリタンクを調達してガソリンを土産に持ち帰りたかった。そんなことよりレンタカーの返却場所に迷えずにいけるだろうか。手元にはインターネットからひっぱりだした地図しかない。けちらずにちゃんとした道路地図を買っておくべきだったと後悔してみてもいまさらどうにもならない。
ヒースロー空港には5つのターミナルがある。成田と違って広大なのだ。私たちが今日搭乗手続きをするのは完成して日の浅い第5ターミナル。しかしレンタカーの返却場所はターミナルとは離れた別の場所にある。いやあることになっている。手元の地図によれば第1第2ターミナルに近いようだった。高速道路の表示板に最初に現れたのは第5ターミナルへの分かれ道。ここでおりないことは確かである。さらに本線を進む。すぐに第1第2ターミナル方面への分岐点になった。迷わずウインカーを点滅させて本線を離れる。ここからは勘に頼るしかない。ハンドルを握っているし、雨で視界は芳しくないし、視力の悪いには悪条件が重なりすぎていた。私は前夜頭に叩き込んでいた空港周辺の地図を思い出しながら車を走らせていたのである。本線を離れると何車線もある一般道に合流した。しかし一般道に入っても分岐が立て続けにあり、どこを曲がっていいのかはまったくわからなくなるまでに時間は要しなかった。あとは私の方向感覚を信じるのみ。前方に滑走路をくぐるトンネルが見えてきた。これを抜けてしまうと雪国ではなく、ターミナルが点在する空港の敷地内に入り込んでしまう。この辺を左折しなくてはと思ったときは遅かった。あわてて車線を左側にうつしたもののトンネル前にある最後の左折チャンスを逃したのである。トンネルに入るしかない。しかし私の車が走っているその車線、一般車が走る車線と次第に離れていき、一般車と平行する別のトンネルに進入していった。入り口からして狭い、1台が通るのがやっとである。さらにトンネル内に照明がない。気のせいだろうが道幅が少しずつ狭くなっているようにも思えた。はるかかなたに明るくなった箇所がある。出口だろう。でもこのまま走っていてサイドの壁にぶつかるのではないだろうか。不安はつのる。後方でライトが光った。慎重にゆっくりと走る私の車に向かってかなりのスピードで迫ってくる。クラクションまでならされた。ルーフにオレンジ色のライトが点灯していたのでタクシーであることは間違いない。でもタクシーが入ってきたということはトンネルから出ることは間違いなくできそうだ。
いまだ雨が降り続き日差しは皆無だったが、トンネルをでたときは太陽の光が燦燦とふりそそぐ楽園に到着したような心境だった。後方のタクシーにせっつかれるようにトンネルを抜けて道なりに緩やかな上り坂の狭い道をらせん状に走っていくとターミナルビルのタクシー乗り場にでた。どうやら私が通ってきたのはタクシー専用のトンネルだったようである。

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