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第57話 ワタシが美食の街リヨンを訪れた理由 [リヨン]

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ところでフランス最初の目的地がなぜリヨンになったのか。母方の祖母がリヨン出身だったからというわけではない。永井荷風の下宿先をどうしても見たかったというわけでもない。理由はブルゴーニュに行くため。リヨンは着地点にすぎなかったのだ。ブルゴーニュのニュイサンジョルジュという村に、かつて私が勤めていたワイン輸入会社と取り引きしていたドメーヌ(自社畑を有したワイン生産者)がある。私はそこの社長が何度か来日した際には鎌倉を案内するなど行動を共にしていた。その輸入会社を退職した後も私のことを忘れさせまいと、毎年彼にバースデーカード、クリスマスカードをせっせと送り続けていたのである。今回銀婚旅行の話が持ち上がった際には真っ先に彼にフランスにも行くのでぜひ貴社を見学したいとメイルを送ったところ、長年のカード送付が功を奏したのか彼は快諾してくれたのだ。まあ、一般的にそれは困るとは言わないだろうが。さらに滞在中は世界中から彼のドメーヌを訪問するVIP用に建てたアパルトメントを使いなさいといってくれたのである。2日分の宿泊費が浮くのでもちろんこちらがその提案を快諾したことはいうまでもない。
当初フランス滞在初日はスイス国境に近いアヌシーにするつもりだった。フランスでも人気上昇中のアヌシー湖畔で自然を満喫した後に車でブルゴーニュへ移動する予定だったのだが、アヌシーに空路入るにはスイスのジュネーブ空港が最も近い。しかし、スイスでは日本の国際免許証が通用しないとの情報(諸説あり真偽はいまだ不透明)があり、ジュネーブではなくリヨンでレンタカーを借りブルゴーニュに行くことになったのだ。リヨン経由を決定した後に毎年12月に開催されるリヨンの光の祭典を知り、見てみたいと思ったものの、1年前でも宿泊先の確保は困難といわれている祭典だからその時点で当然ホテルの予約も取れない。来年以降に銀婚旅行を伸ばそうとも思わなかったし、12月に会社を長期間留守にするわけにもいかないので老後の楽しみにしようと諦めたのだが。
滞在2日目は、フランソアが予約してくれた夕食のレストラン以外予定はない。行き当たりばったり、しいていえばリヨン美術館に行ってみたいということぐらいだった。階下のレストランで朝食を済ませ部屋に戻ってからは昨夜入浴時に洗った後、日本から持参した洗濯ロープに吊るしていたバスルーム内の洗濯物を洗濯ロープごと陽のあたる窓際に移動した。室内とはいえベルクール広場の一角に建つクラシカルな建造物のホテルである、“ホテルの窓越しに洗濯物”“美に対する意識の欠落した東洋人の非常識な行動”などとニュースになって非難されないか心配ではあったが。

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