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第65話 迷子 ここはどこ? ディジョン? [ニュイサンジョルジュ]

リヨンから北上を続けてきたA6という高速道路はボーヌ付近で岐路となる。やや左方向に向かうとパリ。右方向に向かうとディジョン。私たちが目指すニュイサンジョルジュ村はディジョンに向かう途中にある。本来なら左手方向にブドウ畑が連なるコートドール、黄金の丘が見えるはずなのだが、雨交じりで靄がかかっているため確認できない。日本を出発する前にインターネットから得た地図情報によれば、A6の岐路から約17キロを走ればニュイサンジョルジュ村に近い出口に到達する予定だった。ナビゲーターである奥さんにプリントアウトした地図は渡してあるがこころもとない。出口を知らせる標識も日本の高速道路のように大きくはない上に横文字である。100キロ以上のスピードで飛ばしている車内からそれを識別することは至難の業といえる。
車のオドメーターはすでにA6の岐路を過ぎてから20キロ以上は走っているのにそれらしい出口は現れない。周囲は村の景色というよりだんだんと市街地の雰囲気になってきた。奥さんの「もう過ぎちゃったじゃないの」という声にも耳を傾けず、それでも私は車をディジョン方面に走らせた。「もうディジョンも過ぎたんじゃないの」という言葉にも、絶対まだだという自信はあったが確信は持てなくなっていた。車窓から見える周囲の景色がどうみても田舎とは思えない状況が続いたので私は一旦高速道路を降りて一般道に戻り確認することにした。高速道路を降りた位置、方角を頭に叩き込んだ上で、高速道路と垂直に交わる一般道をひたすら直進した。左右の景色に畑が現れることなない。一般の住宅が延々と続くだけである。これはベッドタウンに違いない。ディジョンのベッドタウン?ということはディジョンに近いところまできてしまっているのだろうか。“ここは何処私たちは何処”状態である。
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これは現在地を確認するしかない。私は奥さんに、その辺の通行人に「ここはどこか、ニュサンジョルジュにはどうやっていけばいいのか」尋ねるように指示した。奥さんの活きたフランス語習得にもつながる。しかし日本の住宅地でも午後1時前後というのはあまり人影がないように、フランスの住宅地にも肝心な通行人がいない。みんなメロドラマを見ているとは思えないが、猫一匹歩いていない。呼び鈴をならして「ここはどこですか」と尋ねても怪しまれるだけである。へたをすれば家の中から銃口を向けられるかもしれない。そんなことを考えながら車をゆっくり走らせていると、ようやく前方に獲物を発見した。

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