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第76話 樽が並ぶ巨大な地下空間 [ニュイサンジョルジュ]

エルワンの作業を眺めているとフェブレイさんが戻ってきた。話し込んでいたのはイタリアの主要取引先だそうで、さきほど入口付近で見かけたマセラッティはその人の所有車とのこと。ではフェブレイさんの車はどれだったのか、何なのか。私の謎は深まり楽しみも増えた。
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フェブレイさんについていくと大きなエレベーターに乗せられた。ここに展望台があるわけはないから多分地下に下りるのだろうと推測した。フォークリフトが載ることもできるエレベーターをおりると、そこには無数の木樽が綺麗に詰まれていた。トンネル状に広がる酒倉(カーブ)である。上のタンクで発酵したワインをこの木樽に詰めかえ、ここでしばし熟成させるのだろう。私たちの目に入った木樽はどれも新しい。
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ひとつをのぞくと2008 Chambertin Clos de Bezeと刻印されている。できたてのほやほやである。トンネルはどこまで続くのかわからない。とにかく広大でため息がでる。他人の土地の地下を勝手に掘り進んで酒倉を作ったとは思えないから、この上もフェブレイ社の土地ということか。だとするとかなりの土地持ちである。もっとももともとは葡萄栽培をする農民なわけなので土地を保有していて当然といえば当然だ。土地持ちでなくては工場だって建てられない。初めて見る酒倉に感動しつつ私たちは再びエレベーターに乗り込み地上に戻った。
フェブレイさんが私たちに別の酒倉を見せてくれるという。ここだけではなくまだ他にもあるということか。移動のため一旦施設を出て、中庭を通り、アーチ型のトンネルを抜けて通りにでる。フェブレイさんご夫妻への土産物を持参していないことに気づいた私は部屋にかけあがり紙袋に入れておいた土産一式をもって再び合流した。
徒歩で先ほど最初にフェブレイさんと25年ぶりの再会をしたオフィス棟に向かう。歩いて2,3分の距離だったが他の通行人を見かけることもなく、走ってくる車もない。ボートンオンザウオター以上に静かな村である。歩いている間、会話しているときをのぞけばずっとフェブレイさんは鼻歌を口ずさんでいた。後できづいたことだが、フェブレイさんは絶えずこの同じ鼻歌を口ずさんでいたのである。曲は何だかわからない。アメリカ国家のようでもあるが、別の曲にも聴こえる。次回訪れた際も口ずさんでいたら確認しようと思う。
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