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第83話 レストランでのアクシデント [ニュイサンジョルジュ]

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食事中アクシデントがあった。私たちの隣のテーブルには男女二人ずつ、4人の外国人が私たちに背を向けるかたち座りディナーを楽しんでいたのである。彼らは英語で話していたので地の人間でないことは私でもわかった。フェブレイさんもアルコールが入り少しばかりテンションがあがり始めた頃、何かの話の途中で両腕を振り上げるおおげさなアクションをしたのである。腕を振り上げた瞬間、フェブレイさんの前にあった水の入ったグラスに手先が触れ、グラスは水を撒き散らしながら宙に舞い、やがて万有引力の法則にしたがって落下した。そして1脚のグラスが、いくつかのガラスの塊に変化したのである。水こそ隣の外国人にかかることはなかったが、ガラスの破片は彼らの足元にまで飛散したようである。店主を呼びガラスを片付けるよう支持するフェブレイさん。もちろん隣人たちに対しても深く詫びていた。
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隣人たちはカナダからはるばる訪れていたワインを愛する観光客だった。フェブレイさんが名をなのると、彼らは驚いたようである。フェブレイは北米でもブランド力が高いのだろう。彼らにしてみれば何でフェブレイのトップが東洋人の相手をしているのか不思議に感じたに違いない。会話の途中で時折私たちに奇異の眼差しでみる彼らをみてそれを感じ取ったのか、フェブレイさんが日本からきた友人であると私たちを紹介した。
ガラス破片の回収作業によってディナータイムを中断せざるを得なくなった以外、何も彼らに実害は何もない。しかし優しいフェブレイさん、彼らのために明日試飲会を開いてあげましょうと提案した。もちろん彼らが拒否することはなかった。明日の夕刻は私たちだけのために試飲会をしてくれることになっていたが、日中は日中で彼らのために試飲会を開くはめになってしまったのである。想定外の試飲会が明日のスケジュール表に組み込まれた瞬間、アンさんがどのような表情を浮かべたのかを、残念ながら私は見逃してしまったが。
レストランをでてから先ほどよりさらに静まり返った商店街を抜け、途中で記念写真を撮りながら寝床に向かう。フェブレイさんはとても上機嫌だったし、アンさんも体を寄せ合うような記念写真ポーズにも協力してくれた。こうしてニュイサンジョルジュの夜は更けていった。

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