SSブログ

第112話 ようやく一安心 タクシーでホテルへ [パリ]

Lanterne-taxi-parisien-circulation-630x405-C-Thinkstock.jpg
運良くタクシーが前を通ってくれればいいが待っていても埒が明かない。私は奥さんと荷物を残してこのビル内にあるホテルの入口に向かった。ホテル前なら客待ちのタクシーが列をなしているはずだと思ったからだ。しかし、ホテル正面入口に着く前にベンツのワゴンタクシーが見つかった。丁度客を降ろしているところだった。私は客が支払いを終えると同時にドライバーに近寄り、あそこに荷物があるので車を移動させて欲しいといった。少しアフリカの血が入ったフランス人と思われる30歳前後のドライバーは愛想もよく、その場で乗りなさいという。ドライバーが男色で、初めて楽しむ東洋人の獲物をみて興奮していたとしたら、乗ったとたんアクセルを踏み込み通りにでて郊外の彼の家に一直線かもしれない。そうなったら奥さんと荷物はおいてきぼりになる恐怖はあったが、私はお言葉に甘えて数十メートル歩くことを放棄し後部座席に乗り込んだ。
DSC01046.JPG
ドライバーにホテルの住所を記したメモを渡すとすぐにOKと車を動かした。英語を理解するドライバーは終始上機嫌だった。少し大回りしてこの東洋人から通常の1日分の売上に匹敵する額を頂戴しようと考えているのだろうか。なめてもらっては困る。私はパリには4,5回来ている。ただの観光客ではない。モンパルナスからカルチェラタンへの距離がだいたいどれほどわかっている。パリの地図だって頭の中に入っているのだ。遠回りしたらその場で羽交い絞めにしてやってもいい。海外では猜疑心が一層強くなるのが私の悪いところかもしれない。
ドライバーは悪人ではなかったようだ。リュクサンブーグ公園の脇、カルチェラタン界隈を通り車は10分程度でパリ第一大学(ソルボンヌ)横のホテルに横付けされた。後方のドアを開けスーツケースを引っ張りだしてくれたドライバーに法外なチップを与えると「ありがとうございます」と日本語で礼をしてきた。パリを訪れる日本人がいかに多いのかを知らされた。でも近い将来、いやすでに東洋人を見ると「謝謝(シェイシェイ)」というドライバーが多いのかもしれない。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。