SSブログ

第18話 地下鉄1日乗車券購入 [ロンドン]

ロンドンの地下鉄が初乗り600円程度にまで高騰していることは知っていた。私が暮らしていた1975年当時も日本に比べれば高いといわれてはいたがそこまで高いイメージはなかった。当時は初乗り15ペンスぐらいだったと記憶している。1ポンド700円、800円の時代だが、100円から120円程度だったのだろう。いちいち切符を買っていたのではそれこそあっという間に小銭入れだけでなく財布も軽くなってしまうが、ちゃんと救いの手は用意されていた。1日フリー切符のようなトラベルカードである。そして週末となるとさらにお得になる。千円ちょっとでロンドン中心街(大半の名所や美術館、博物館は範囲内にある)の地下鉄とバスが乗り放題ということになる。地下鉄に2度乗ったらほとんどもとはとれるという優れものなのだ。
rosen.jpg
H&Mをでるとすぐに地下鉄入口があったので私たちは階段をおり、オックスフォードサーカス駅に入った。主要な地下鉄が交差するこの駅、私もかつては何度もこの駅を利用したが、いつもごったがえしており、当時恐れられていたIRAがここに爆弾でもしかけたらとんでもないことになるなあと思っていたものである。でも今日は週末、それも午前中。改札口を出入りする乗降客の数は極めて少ない。私は自販機ではない対面販売、JRでいうところの「みどりの窓口」のようなカウンターにいってトラベルカードを買うことにした。切符などを販売する窓口の係員と購入者である私はかなり分厚いガラスかプラスチックで仕切られている。係員とのやりとりもマイクとスピーカーを介して行なわれる。その日窓口にいたおばさんはとても親切というか普通の人だった。横柄でもなくきちんと仕事をこなしてくれている。これはロンドンでは珍しいことといえるかもしれない。私は今日の分のトラベルカードを購入、明日のカードも今購入できますかとたずねると大丈夫というので、そちらも購入した。奥さんの分と合わせて週末券4枚お買い上げである。現金やクレジットカードの受け渡しも、手から手へ直接は渡さない。窓口の下部くぼんでいて、そこに現金やカードを投入。それを回転させて相手側が受け取り、お釣りや決済の済んだカードはまたそのくぼみに職員が入れて回転させて客の手元に戻ってくる仕組みである。そんなにロンドンの治安が悪いのだろうか。それとも日本があまりに杜撰なのだろうか。
ここから地下鉄を乗り継いでいけば15分もかからずにサトウ家に近いチョークファーム駅に行ける。でもまだまだ時間はあるし予定通り徒歩でサトウ家を目指した。私たちは新婚旅行では訪れていないリージェンツパークに向かうため再び地上に出たのである。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

第17話 待ちこがれたロンドンの朝 [ロンドン]

ホテルを出ると石造りの建物の間を抜けて頬に当たる風が冷たい。陽がのぼって時がたっていないせいだろうか。この風こそが私が待望していたロンドンの象徴、心地よさである。あらためて自分が今ロンドンにいることを実感した。
今日のメインイベントは12年ぶりのサトウ家訪問だ。佐藤家ではないサトウ家、アーネスト・サトウの末裔Satow家である。私は1975年の春から年末まで半年以上サトウ家にホームステイしていた。帰国してから2度ほど仕事でイギリスに来ているが、その際は必ずサトウ家を訪れることにしていたのである。今回私たちが銀婚旅行としてヨーロッパを訪れることは今年のはじめにはわかっていた。しかし、あまり前からご高齢のサトウご夫妻に秋に行きますよと伝えても、何カ月も前から私たちの歓迎準備に追われて体調を崩されてはこまるので、渡欧することを告げたのは日本出発わずか1週間前。ご主人が電話で応対してくれたのだが、しばらく話した後にいきなり「どなたですか」といってきたりしたので少々心配だった。すでに80歳代半ばをすぎたであろう老人である。意識がはっきりしていることの方が不思議なのかもしれないが。その時点では土曜日に訪れることだけを約束。ロンドンに着いたら時間などの打合せのため再度電話をすることになっていたので、前日ホテルにチェックイン後すぐに連絡すると、私たちの訪問の件を覚えていてくれたのでほっとした。サトウさんは12時にきて欲しいとのこと。ランチを振舞ってくれるのだろう。逆算して10時過ぎにホテルを出発。ピカデリーサーカスあたりの店をのぞき、地下鉄オックスフォードサーカス駅で地下鉄とバス乗り放題の週末乗車券を購入。その後ゆっくりと時間をかけてリージェンツパークを横切ってプリムローズヒルまで歩きサトウ家に向かう予定だった。
imag0589.jpg
ほとんどの会社がクローズする土曜の朝ということもあり道路に車の通りはほとんどない。昨夕はごったがえしていたオックスフォードストリートにでても人影も車も少ない。もっともまだ大半の店はオープンしたばかりの時間帯だから当然といえば当然だ。オックスフォードサーカスの交差点近くに日本に先ごろオープンして連日入店するための長蛇の列ができているというH&Mを見つけた。その筋向いにもH&Mがある。当然だが入店のための列など見えない。いつでも入店可能だ。私たちはどんなものが販売されているのかをリサーチするため入店した。店内には客が2,3人いる程度。日本のショップならオープン直後の店内は商品が綺麗に陳列されているだろうが、売っているのは商品でディスプレイではないということだろうか、平台に置かれた衣類も、かごに収められた商品も雑然としていて、昨夜の閉店当時のままという感じである。確かに価格は安いが「これはきれい」とか財布を引っ張り出すほど魅力的な商品は見つけられなかった。購買層のターゲットが我々とは異なるのだろう。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。