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第34話 「No Photo」と叫ぶ親 [ロンドン]

地下鉄からヴィクトリア線、セントラル線と乗り継いでポートベローに近い、ノッティングヒルゲート駅まで行く予定だったが、途中、テムズ河畔に小さな公園があったので一休みすることにした。ベンチに腰をおろし、奥さんは一服、私はテムズの心地よい風をうけながらロンドン上空を流れる雲を眺める。公園には3,4歳の女の子を連れたお父さんとお母さんがいた。その娘は家から持参したと思われる、日本で見かけない木製の乗りものを乱暴に扱いながら奇声を発し、公園内をいったりきたりしている。私はその乗り物が珍しかったのでカメラにおさめようと娘の方にレンズを向けた。その瞬間、後方で母親と談笑していた旦那が「No Photo!」と大声で叫んだのである。みると凄い形相だ。別にお前の娘を撮ろうとしたのではない。お前の娘が粗雑に扱っている乗り物をカメラにおさめたいだけだといいたかったが、そういっても親父は「No Photo!」と叫びつづけ、もしかすると懐からジャックナイフを取り出したに違いない。いったいあんたは何様。ポール・マッカートニー?チャールズ皇太子?それほどの人物の子ならプライバシー、肖像権があっても仕方ないが、その親父はどうみても高名なミュージシャンには見えない。カメラを持っている私に対する嫉妬だと思うしかなかった。
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不快な思いをした公園を後にした私たちはピムリコ駅から地下鉄を乗り継いで目的に向かう予定ではあった。ところが当の駅が閉鎖されていて利用できない。週末は閉鎖される駅があることを忘れていた。私はここからヴィクトリア駅までバスで行き、そこで最も古いロンドン地下鉄、半地下を走るディストリクト線に乗りノッティングヒルゲート駅に向かうことに。ロンドン市内の地下鉄路線図が頭に叩き込まれた私だからできる臨機応変な変更といえよう。昨日購入したロンドン交通局発行のパスは地下鉄も乗り放題。おもわぬところで久方ぶりのダブルデッカー=2階バスを楽しめることになった。
25年ぶりに2階バスにも乗り、ポートベローでのみの市をのぞき、その途中で生まれて初めてファラフェルを食した後、地下鉄でオックスフォードサーカスへ戻りリバティー、ヘムレイズ、カーナビーストリートを散策、そしてロケハンしたカレー屋とは異なるカレーやさんで夕食をとりロンドン滞在3日目を終えた。
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第33話 ウエストミンスターからテートブリテンへ [ロンドン]

ビッグベン周辺は王室の戴冠式が行なわれるゴシック建築のウエストミンスター寺院や葉巻をくわえたチャチール像もある市内でも有数の観光スポットだ。開店準備をしていた露店の土産物屋の主人も今日は笑いがとまらないに違いない。
サトウさんとわかれた後、私たちは一般のツーリストに戻り、ウエストミンスター寺院を訪れた。ところが日曜日のため信者たちの礼拝中ということで一般観光客の入場は許されなかったのである。信者だといえば入れないこともなかったが、何回か内部には入ったこともあるので簡単にあきらめたのである。寺院周囲を歩いて次の目的地デートブリテン(かつてのテートギャラリー=美術館、今はテートブリテンとテートモダンの二つに分かれて展示されている)に向かう途中で、新婚カップルの写真撮影現場に遭遇した。花嫁はウエディングドレスとまとってはいるが、本物の新婚さんではないらしい。雑誌かなにかの撮影のようである。さらに彼らの顔立ちは西洋人ではない。完全に東洋系、日本の雑誌かと思って近づいていくと、キムチの臭いがしてきたわけではなく、普通に話していても喧嘩をしているような韓国語が耳にとびこんできた。韓国のファッション雑誌だろうか。近寄ってモデルの顔をのぞきこんだが、それほど美形ではなかった。
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ウエストミンスター寺院を眺めた後、テムズ河畔を歩き、私の好きな画家ターナーの作品を多く所蔵するテートブリテンに向かった。かつてはテートギャラリーと呼ばれていたこの美術館、2000年にテムズ川の少し下流の対岸にテートモダンが開館してからは、イギリス美術専門の美術館となり、テートブリテンと名前を改めたのである。ターナーが好きだとはいっても私にとっては2度目の訪問。なんと1年余り住んでいた30年前には1度も訪れていなかったのである。最初に訪れたのは数年前の出張時。美術をはじめとして芸術分野全般にうるさい、当時勤めていた会社のフランス法人の責任者とともに入館したのが最初である。といっても出張時の合間、その後大英博物館にも行くことになっていたので、ほぼ駆け足状態。ひとつひとつ立ち止まって鑑賞する余裕はなかった。今回も時間の制約はあるもののターナーの作品を十分堪能できるだけの時間はあった。
街中の教会前の階段よりもスケールの小さい階段をのぼるとそこはもう入口。といってもゲートがあるわけでもない。例によって入館は無料。警備員に怪しい人物と判断されない限り、無条件で入館できるのだ。開館後間もないこともあり館内は人影もまばら。入館料も馬鹿高い上に、作品というよりも人の後頭部しかみえない日本の美術館での鑑賞とは比べ物にならない。すべてのフロアを周った後、地下の土産物店でお買い物をすませ私たちは次の目的地、蚤の市で有名なポートベーローへ向かうことにした。テートブリテン前から船に乗ってテートモダンにも行きたかったが、それは次回のお楽しみということにして。

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