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第50話 ターミナル5でアジア系空港職員に捕まる 原因はファンタ [ロンドン]

リヨン行きの便はヒースローのターミナル5から飛び立つ。ヒースローの中で最も新しいターミナルだけに日本からの便が到着したターミナル3とは異なり広々しているし何よりどこもかしこも明るくきれいだ。一部長距離便を除く全ての英国航空便の乗客はこのターミナルを利用することになる。
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無事ターミナルに着いたはいいが出発時間まで3時間はあった。幸い2時間前でないとチェックイン手続きはできませんということはなく、ロビー内に点在する自動チェックイン機で搭乗券をゲット後、カウンターでスーツケースを預けることができた。これでいつ出国検査を受けるまで自由だ。市内まで15分でいけるというパディングトンエクスプレスの乗り込みロンドン市内に戻りバッキンガム宮殿の見物ぐらいできる時間はあるかもしれない。でも乗り遅れたら取り返しがつかないので、しばし出発ロビー内を散策することにした。
出国検査では手荷物の徹底チェックが行われた。911テロの記憶が薄れかかっているアメリカの検査に比べるとかなり厳しい。私はX線検査を何事もなくパスしたが、奥さんが引っかかった。X線横の味も素っ気もないテーブルに手荷物を移動させられる。そして検査官がバッグの中身を検査するというのだ。検査官は男。しかしやけに陽気である。どこからきたの、どこへいくの、いつまでそこにいるの、自分は忙しいから旅行などできない、お金もないから外国にも行けない、などと終始笑顔、ジョークを飛ばしながらバッグの中身をひとつずつとりだし、それが何であるか確かめる。どうせ何か飲料のペットボトルでも紛れ込んでいるのだろうと、最初から犯罪の臭いなど感じていないに違いない。検査官の推測は正しかった。バッグの中からファンタのペットボトルが出てきたのである。ヒースローに向かう高速道路のサービスエリアで購入したものの、キャップもあけずにバッグの中に放置されていたものだ。検査官はファンタと取り上げ、にっこり笑って没収させてもらいますとひとこと。後方のテーブルにおいた。検査官に楽しい旅行をといわれて奥さんを無罪放免となった。検査官は私たちに向かって最後に「さよなら」と日本語で言っていた。しかし明るい検査官である。彼ならディズニーランドのアトラクションのひとつであるジャングルクルーズのガイド役が務まると私は思った。日本の税関職員もあの明るさを見習うべきではなかろうか。
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手荷物検査を終えて私たちは出発ゲートに向かった。ゲート周辺には免税ショップやみやげ物店などが立ち並んでいる。フランスに渡ればポンドもペニーも使えない。ここで使い切るしかない。日本で両替しておいたポンド紙幣はきれいさっぱりなくなっていたので、私の財布に残っているのは小銭だけ。それでも集めれば2,3千円にはなる。奥さんはその小銭入れを握りしめて土産物店へ向かった。まるで初めてのお使いである。しばらくするとビニール袋を手に奥さんが帰ってきた。配れるような小物のみやげ物を購入してきたという。残金は小銭で1ポンド強か。次回英国に帰ってくるまでその小銭はとっておくことにした。

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第49話 無事返却 英国での任務完了 [ロンドン]

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しばらくするとバスは走り出しおばさんは私に合図して私たちの車の前にでた。ターミナルビルをぐるりとまわりさきほどとは違う到着ロビー前のコンコースで車を停めた。そこはバス専用のレーンのようである。一般車は皆無。他のレンタカー会社のバスとか団体客を送迎すると思われる一般の大型観光バスが何台か停車しているだけだ。私は不審な車を取り締まる係員に見つからないようバスの背後にぴったりついて停車し出発をまった。何人かの乗客をのせてようやくバスは走り出したのである。ターミナル5は他のターミナルから離れた場所にあるので、このまま事務所に直行するはず。バスは滑走路の外側を走る広い道路にでた。まっすぐなその道の両側にはレンタカー会社の事務所棟が点在している。そして進行方向とは逆サイドに大きなHertzの看板みえた。先の信号で大きくUターンすると、おばさんドライバーは窓から手をだし私たちに先にいきなさいと指示する。多分バスの利用者を降車させる場所と車の返却場所が異なるのだろう。ここまできたらひとりでもいけるでしょということか。私はクラクションをならし謝意を表しバスをぬいた。返却車両の入口はすぐ先にあった。
表示通りに進むと屋根のあるレーンにたどりつきエンジンをとめた。体の力が瞬時にぬけ、どっと疲れがでたような気がする。すぐに係員らしき若い女性が車に近づいてきた。私が契約書を見せるとそれに簡単に目を通し、車の周囲をぐるりとまわり、大きな損傷のないことを確認。これから搭乗するターミナルをたずねてきた上で、そのターミナルビルに向かうシャトルバスの乗り場を伝えた後、車から立ち去っていった。借りるときと異なりなんとあっさりした対応だろう。私たちはスーツケースを下ろし事務所棟に入ってひとやすみすることにした。空港敷地内にたどり着いてからかなりの時間を費やしていたがリヨン行き飛行機が出発するまでの時間には十分すぎる余裕がある。私たちは事務所棟のトイレを利用した後に、ターミナル内でランチでもしようとシャトルバスにすぐに乗り込むことにしたのである。重いスーツケースをターミナル5行きのバスに引っ張りあげる。乗客は私たち以外いない。「Oh-!」運転席からなんともいえない奇声がきこえた。運転席をみるとさきほどのマリアさまが座っていた。私はマリアさまにお礼をいってシートに腰をおろした。窓の外では雨がいまだに降り続いている。まさに欧陽菲菲の世界。雨のエアー・ポートだった。

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