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第105話 最終ドライブ、いざパリへ [オンフルール]

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今は静かな避暑地ドーヴィルを後にパリへ向かう。高速を逆方向に乗ることさえなければパリまで一直線、迷うことはないだろう。問題は出口だ。パリ周辺には高速出口がいくつかある。どこで一般道へ降りて車の返却地モンパルナスに向かうだ。軽井沢から高速を使って東京へ向かうとしよう。上信越道、関越道はいいとして、練馬ICを過ぎて都内に入ってから首都高速をどこでおりるか迷う。返却先が東京タワー近くとわかっていたとしてどこで首都高速をおりればいいのかわからない。うまく東京タワー近くで一般道を走ったとしても、一方通行があるかもしれない。さらに右折左折ができないのではないかなど不安はつきない。カーナビがついていれば、スピーカーから聞こえてくるお姉さんの指示通りハンドル操作すればいい。しかしカーナビもない、23区に区分された詳細な地図もない。あるのは東京都心全図、山手線内側部分の主要道路だけが描かれた簡単な1枚の地図だったらどうだろう。日本の場合なら借り受けた時点でレンタカー会社が、どこそこのICやランプで降りてから返却営業所までの詳細な説明が記されたリーフレットなどをくれるに違いない。よっぽどの方向音痴でない限り、カーナビなしでも返却営業所にたどり着くはずである。しかしここはおフランス。痒いところに手が届くようなサービスはない。顧客側がうんざりするほどの過剰な親切心もないのだ。やるっきゃない、JUST DO IT!の心境だ。
しかし問題は高速に入る前に生じた。ド―ヴィルの外れの一般道から高速へ入る道を工事していて、どこから入ればいいのかと考えている間に、臨時の進入口を行き過ぎてしまったのである。一般道、それもどちらかといえば田舎の一般道、でも片側2車線ある。先でUターンすればいいと思って車を走らせたが、分離帯もありUターンすらできない。それに交差点もない一直線の道がどこまでも続き前進するしかないのだ。このままパリまで一般道でいくことになるのかと途方にくれ始めたとき信号が見えた。神の救いだ。そこはT字路。左折してその道を進んでどこかでUターンすれば、再びこのT字路に戻ってくることができる。そうすれば今来た道を引き返し臨時進入口からパリへ向かえばいい。進入口を間違えて逆方向にカーン方面へ向かわないことを注意すればいいだけだ。T字路を左折するとそこは中央分離帯もない市道のような道だった。でもうねうねした丘を登っていくその道には安全に方向転換できる場所がみつからない。丘をのぼりきって視界がひらけると牛が放牧されたノルマンディーののどかな風景が秋口の優しい陽を受けて広がっていた。
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私は安全な場所でUターンし、私は今走ってきた道を逆走。パリに通じる高速に向けてオペルを走らせた。この余分な走行でのロスタイムは30分。2時前後にはパリで車を返却できる予定でいたが、この先さらなるトラブルに巻き込まれ、ド―ヴィルでのロスが影響して暗闇のパリで恐怖のドライブを体験することにならないことを神に祈った。

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第104話 早朝のドーヴィルへ クローズだったお目当ての店 [オンフルール]

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翌朝、港をでる漁船のエンジン音で目が覚めた。腹痛もない吐き気もない、生ガキにあたることはなかったようだ。奥さんも同様である。階下のレストランで朝食を済ませた後にチェックアウト。今日は最終目的地パリまで、200km強のドライブである。無事に到着すれば2日で700km弱走破したことになる。リヨンで車を借りてからの総走行距離は1000kmを超える。パリに到着したら車を返却、その後は市内を網羅するメトロがあるし、以前オンフルールに連れてきてくれたパリに住む知人の車でも移動することになるだろうし、ハンドルを握ることはないはずだ。とにかくパリに無事到着することが今日の最大任務である。
パリに向かう高速に乗る前に、私たちは避暑地ド―ヴィルに立ち寄ることにした。夏場はパリのブランドショップの大半が店を開くほどセレブで賑わう避暑地だが、この時期は閑散としているに違いない。目的はド―ヴィルにあるモデルカーショップを訪れること。その店はモデルカーを販売するばかりでなくジオラマとセットになった車も販売しているのだ。我が息子もジオラマ製作とモデルカーの改造を趣味としているので、彼への土産購入と、西洋人のジオラマ腕前をみてみたかったのだ。その店は年間を通して営業していることは確認済みで、その場所も把握している。その店の開店時間までは時間があったので、車をパーキングに入れ、早朝のド―ヴィルの街を散策することにした。
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まだ日常が動き出した直後ということもあり、大半の商店は閉まっている。訪れた街では必ず訪れるおもちゃ屋ももちろん営業前だったが、ショーウインドウには私たちを歓迎するように思い思いのポーズで外を眺めるぬいぐるみたちがいた。お店とはいえないが不動産屋は店内に明かりがついていてスタッフがすでに業務を開始している様子。さすが避暑地、電話で高級物件を買い求める顧客への営業をかけるのだろう。パン屋さんもあいていてむきだしのバゲットを小脇にかかえて歩く出勤途中と思われる女性もいる。フランスのパン屋さんはどこも朝が早い。9時開店が常の日本のパン屋さんとは大きく異なる。朝食でパンを食べる人の絶対数にフランスと日本では大差があるだろうだから当然かもしれないが。これまた文化の違いである。
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人通りもまばらなド―ヴィル中心街の散策を終えモデルカーショップに向かう。ところがまだ営業している気配がない。店の内部の電気もついていない。つぶれたわけではあるまい、日本を出発する前にもこの店のホームページを見ていまだ健在、営業していることを確認している。だがなんとその日は臨時休業日だった。なぜだ、はるばる海の向こうからきたのに。入口のドアを叩いても誰もでてきてはくれないだろう。ガラスだから何かぶつけて割って店内に入れば、ジオラマとモデルカーの写真を撮ることぐらいはできただろうが、それは犯罪だ。諦めるしかなかった。私たちはヴェズレイの絶景で運を使い果たしてしまったのだろうか。肩をおとしてパーキングに戻り、一路パリを目指すことにした。

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