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第117話 中華料理店で夕食 [パリ]

睦美が到着してからしばし再会を喜びあうと、私たちは空腹に耐えかね夜のカルチェラタンへ繰り出した。睦美が私たちに食べたいものはないかときいてきたので、日本を離れて10日あまり、日本食が我慢できないぐらい食べたいと思ったことはなかったが、なぜかラーメンの類が食べたいと伝える。すると近くに旨い中華料理屋があるというのでそこへ案内してくれることになった。
ノートルダム寺院、セーヌ川にほど近いカルチェラタンの外れに近い通り沿いにその店はあった。日本のガイドブックでも紹介されていた「ミラマ」というチャイニーズレストランの店先には豚の丸焼きがぶらさがっている。まだ7時を過ぎたばかりなので店内には空席もある。東洋人の客はそれほどおらず原住民であるフランス人の方が多いようだ。威勢のいい中国人店員が席へ誘導する。しかし同胞とは思われなったらしくフランス語で話しかけてきた。中華料理店といってもコース料理か高級な一品料理の数々を頼まなければならないような日本の高級中華料理店とは異なる。現地人も気軽に来店できる日本でいうところの麺類だけでも立派なお客さんと見てくれる気軽な店だ。私たちは好みの麺類を頼み、奥さんと睦美は再会を祝して、私はフランス国内をマニュアル車で無事走破してパリに到着したことを神に感謝し、冷えたチンタオビールで乾杯、した。
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日本のラーメンとは異なり私好みのあっさり仕立てのチャーシュー麺を食した後、サンジェルマン通りのカフェへ移動。テラス席でワインを1本空けた後、夜のノートルダム寺院をセーヌ川沿いに眺めた。睦美はそこからメトロで自宅のアパルトメントへ。私たちは心地よいほどに冷たいパリの風を頬に受けながらホテル方向に歩いてもどった。10時を過ぎていたがホテル前の広場にはかなりの人がいる。アップテンポのギターを弾く大道芸人までいて騒がしい。もちろん学生もいる。どのカフェもまだお客さんで賑わっていた。もう何も飲むことも食べることも不可能な私たちは大人しく部屋に戻ることにしたのである。オンフルールを出発してから14時間あまりしか経っていないが私にとっては長い長い1日に感じられた。

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第116話 ここがパリ?外は見事な日本庭園 [パリ]

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そこにはここはパリではなく京都かと錯覚させるような見事な日本庭園が広がっていたのである。今は動いていないが小さな滝もある。玉砂利が敷かれたスペースもある。苔の生えた岩まで配されている素晴らしい庭園だ。日本人スタッフによってパリから発信されるインターネットサイトでこの庭が紹介されたときベラールさんから知らせがきたので写真ではみたことがある。しかし実際に見てみると圧巻である。万博でもないのによくぞここまで創りあげたと。
何でも木や苔は日本から持ち込んだものも多く、パリの植木屋さんに頼んで造園してもらったそうである。以前にメイルでその光景を見たとき、莫大は費用がかかったのではと尋ねると、安くはなかったとの答えが返ってきたことを思いだした。日本の料亭でもここまでこらないかもしれない出来栄えである。夜はライトアップできるようになっているそうで、二階の最も奥に位置するベラール夫妻の寝室からもそれが一晩中眺められるよう大きな窓が設置されていた。
庭をしばしベラールさんの案内で歩いた後、室内に戻る。今日の長居は無用である。私たちは日本から持参した貢物(土産物)を差し出した。メインは京扇子。ロンドンのサトウ夫妻、ニュイサンジョルジュのフェブレイ夫妻への土産と同じものだ。もちろん細部はそれぞれ異なるが。奥さんの従兄弟が京都で竹細工の工房を経営しており高級京扇子の制作にも携わっているため、その関係筋を介して比較的廉価で購入できたのである。日本通のベラールさんはその価値がわかってくれるだろう。あとは画を描くことが好きなベラールさんの奥さんロレッタさんのために購入したもの。日本の色を紹介する本である。もちろん外国向けなので英語で記されている。外国の人は受け取るとすぐに開けてみると思っている人も多いだろうが、そこは日本贔屓のベラールさん、あり難く頂戴した後に、ロレッタさんが帰宅してからあけさせてもらうといった。その後三階の事務所スペースを見学。さらに、私たちがいるあいだじゅう泣きどおしだった姪っ子さんの飼い犬だという五月蝿い小型犬にガンを飛ばしつつワンフロア上から日本庭園を鑑賞。明日夕の訪問時間を確認してベラール邸を後にした。
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時計をみると間もなく6時になろうとしているが、陽はまだ沈みそうにない。大型書店や専門書を扱う小さな書店、そうした学術的な店の中に八百屋果物屋も並ぶパンテオン脇の小道をのんびり歩きホテルへ向かった。ホテル横のカフェの外に置かれた席は学生たちでほとんど埋まっていた。ここでコーヒーを飲み、一服し、それぞれのアパルトメントに戻って深夜まで復習予習をするのだろうか。私たちは睦美の訪問を待つため一旦部屋に戻った。

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