SSブログ

第125話 下半身無着衣ルックで現れた姪っこ [パリ]

エジプトやインド、中国、もちろん日本も含め、ベラールさんが訪れた国の歴史を物語る逸品が展示された棚には、私たちのお土産である京扇子がすでに綺麗に飾られている。さすが日本通のベラールさん、ディスプレイ用の小物もちゃんと活用されていた。最後にライトアップされた小雨にけむる日本庭園を見せられて睦美も言葉がない様子だった。雨の日本庭園も美しい。庭だけ見れば東京の料亭の雰囲気である。
DSC01217.JPG
邸内回遊が終わったので、さあディナーとはいかない。ひとまずリビングのソファに落ち着き談笑である。ベラールさんがシャンパンを開けグラスに注いでまわる。奥さんと睦美はロレッタさんとフランス語で話していたが、ロレッタさんは私の奥さんに気を遣って言葉を選び、さらにかなりゆっくりと話してくれているようだった。もちろんロレッタさんは英語でも話せるが、今日は奥さんの勉強のためということでフランス語を使ってくれているのだろう。
お土産として渡した「日本の色」という英語版写真集の話しとかロレッタさんの健康状態を話していると、大柄な女性がリビングに入ってきた。電話もチャイムもなっていないからこの家の鍵を持った人だろうから不審者ではなさそうだ。しかし彼女、下半身に何も身につけていないのである。私は目のやり場に困った。だが、ベラールさんもロレッタさんも何ごともないかのように私たちに彼女を紹介しはじめた。ベラールさんの姪御さんだった。年齢は40前後といったところか。しかしベラールさんは、「お客さんの前でそんな格好は失礼だ」と戒めないのだろう。私は不思議に思った。もしかすると何か障害をもった姪御さんで、こういう身なりは日常茶飯事、いちいち怒ったり注意したりしないに違いないと勝手に想像していた。
DSC01219.JPG
私は視力が悪い。姪御さんは下半身裸で乱入してきたのかと思っていたが、彼女はらくだ色のズボンを履いていただけと知ったのはその後しばらくたってからのことである。でも勘違いしていたのは私だけではなかった。睦美も最初仰天したそうである。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

第124話 息子のCDで迎える演出 [パリ]

ベラールさんの住んでいる住居のガードは固い。まずビルの入口脇にある操作盤で暗証番号を入力する。するとドアがあき、10畳ほどの広さの何もないロビーとなる。次にロビー突き当たりのドアの横にある内線電話で訪問先を呼び出し、相手が入室を許可するとそのドアが開くことになる。つまり二重のセキュリティーシステムになっているわけだ。昨日のように外から電話して「今着いたから開けて」といえば、ベラールさんが迎えにきてくれるのだろうが、私たちはその建物の流儀に従って入館したのである。
ベラールさんに入室を拒まれることもなく私たちは建物内に入ることができた。ロビーのドアを抜けると右手に大人4人が乗れるか乗れないかという小さなエレベーターがある。小さな東洋人が3人乗りこんだだけでも息苦しい狭さである。ベラール邸がある2のボタンを押す。エレベーターは大きな音を立てて上昇を始め、すぐに大きな音とともに停止した。2階だからあっという間である。
2階の住人はベラールご夫妻だけなので、エレベーターのドアが開くと、正面のベラール邸玄関ドアも開け放たれており、中にベラールさんと奥さんのロレッタさんが立っていた。と同時に私たちの耳に聞き覚えのあるメロディが飛び込んできた。音はベラール邸の中から聴こえてくる。それは昨日ベラールさんにお土産のひとつとして渡した次男のバンドのCDに収められた曲だった。ベラールさんらしい心憎いお出迎え。私たちは感激しながら美術館のようなベラール邸に再び入館したのである。
DSC01248.JPG
私はベラールさんにはここ数年の間にも何度か会っている。彼が来日したとき空港に迎えにいったりしていたのだ。でも奥さんのロレッタさんに会うのは12年振り。出張でパリを訪れた際、週末をノルマンディーのオンフルールや避暑地ド―ヴィルで一緒に過ごしたのである。その時オンフルールのハーバーの前で撮った写真をA4サイズに大きく伸ばして昨日ベラールさんに渡していた。
奥さんは入院するほど足が悪かったときいていたので心配していたが、今は回復しているようでひと安心。私たち夫婦は昨日ベラールさんに邸内の案内と邸内の美術品の数々を紹介してもらっていたが、睦美はベラール邸がリノベーションされてから訪れるのは初めて。そこでベラールさんが邸内を案内してくれた。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。