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第127話 オルセー美術館からの眺め [パリ]

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パリ滞在3日目は唯一私たちだけで行動する日だった。とにかく二人とも行ったことのない所に時間を気にすることなく訪れたい。まずはメトロに乗ってオルセー美術館に向かった。メトロをおりて地上に出て少し歩くとオルセーはあった。目の前はセーヌ川だ。チケット売場前にはすでに小グループの学生たちが集まっている。ひとり9.5ユーロ(約1500円)ほど支払って館内に入る。イギリスと異なり、フランスはリヨンの美術館でも入場料をとられた。六本木の国立新美術館などでの展覧会とほぼかわらない額である。しかし展示物の質や量からいったら間違いなく安い。日本での催事では代表的な作品しか展示されないから1時間ですべて観て周ることだって可能だ。それに大変な混雑。作品を観ているのか人の頭をみているのかわからない。それに比べればこちらは混んでいるといっても開店したばかりのデパート程度だ。よそみをしていても人にぶつかるということはまずない。
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もともと駅舎だった建物を美術館にしたのでオルセーは細長い。そこには19世紀中盤から20世紀初頭までの美術品が展示公開されている。それ以前の作品郡はルーヴル、それ以降はポンピドーセンターとパリの美術館はきちんと時代別に仕分けられているのだ。オルセーにはゴッホの「自画像」、ゴーギャンの「タヒチの女」、ミレーの「落穂拾い」をはじめ、コロー、マネ、ルノアール、ロートレックといった日本でも馴染みの画家たちの作品を収蔵している。オルセーには1日中いても問題ないのだが、それはパリ滞在に充分な時間があるときのためにとっておかなくてはならない。私たちは3時間余り館内をのんびりと歩き分厚い美術書のページをめくるようにして作品の数々を鑑賞した。
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展示された絵画の合間にときおり大きな窓があるのだが、そこから眺めるパリの街並みの美しいこと。パリ中心部には高層建築が皆無、すべての建物の高さが統一されているのだから。セーヌを隔てたさらに遠方にはモンマルトルの丘に建つサクレクール寺院がぼんやりと見えていた。見事なまでに都市景観を守っていることに驚くとともに、ヒトラーの命に従わずパリを爆撃しなかったドイツ軍司令官に最敬礼である。

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第126話 ベラール邸でのディナー [パリ]


ダイニングテーブルを前にベラール夫妻、姪御さん、睦美、私と奥さんが座る。8人が一度に食事をしても問題ないほど大きなテーブルだが、すでに食器やグラスやパンがセットされている。中央部分だけ少し隙間があったがそこにはメインディッシュが置かれるのだろう。
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とりあえず泡(シャンパン)で乾杯、その後ベラールさんが抜栓し皆のグラスにそそがれたのはボルドーのシャトーランシュバージュだった。日本のレストランでオーダーすれば福澤さんが3人いないと安心して頼めない銘柄である。ベラールさんは私がかつてワインの輸入商社に勤めていたことを知っているので私が有無を言わせぬ代物を選択したのかもしれない。もっともこちらは何もここまでのクラスのワインでなくても不平をいう気などさらさらないが。メインディッシュは長方形の器に大きく鮮やかな海老やタコが盛られたムニエルだった。もちろんロレッタさんのお手製である。大きなテーブルも前菜やメインディッシュ、様々な器であっというまに埋まってしまった。しばらくするとベラールさんが私に見せたいものがあるのでついてきないさいと言う。エレベーターに乗りこむのでコンビニにでもつまみを買いにいくのかと思ったらエレベーターは1階を通り過ぎ地下に。おりて少し歩くとベラールさんがあるドアの前でとまり鍵をあける。地下にあるいくつかの部屋はこの建物の居住者がそれぞれ管理するスペースなのか。それとも地下もベラールさん所有で貴重品が入っているので鍵をつけているのかもしれない。灯りをつけるとそこは酒蔵、セラーだった。
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日本のレストランでもこれだけ保有しているところは少ないと思う。ボルドーワインを中心に、数々のシャンパンやブルゴーニュワインが棚で眠っていた。何でも気に入ったワインがあるとケース単位でオーダーしているそうだが、これをすべて飲み切るには連日パーティを催さなければならない。ベラールさんはその中から今日のラストはこれを開けようと手に取ったのでボルドーのシャトータルボ、これまた小売店で購入しても福澤さんおひとりさん、レストランならもうひとり以上は必要になるワインだった。
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皆が待つ上階のダイニングルームにワインを持ち帰り、あっという間に空にした後にリビングへ移動、記念写真などを撮りながらしばし談笑。地下のセラーとここを行ったり来たりしながら朝まで居座りたかったがそうはいかない。名残惜しいがお暇することにした。ベラール夫妻とは翌々日クラシックコンサートに行くことになっているので今夜でサヨウナラというわけではない。私たちは睦美をメトロの駅まで送りがてら徒歩でホテルのあるソルボンヌ広場に向かう。ホテル横のカフェはまだ営業しており、何かつまめる程度の余裕は胃袋にあったがおとなしく部屋に戻ることにした。

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